第83話 トロウルって、魔法も使ったよな?
トロウルの近くまで来て俺は戸惑っている。
まだ気づかれてはいないようだ。
・・・
バカでかいメイスを持っている。
あれで殴られたら大型トラックでも吹き飛ぶんじゃないか?
それにトロウルって、神話などでは魔法使うんじゃなかったっけ?
まさかな。
ただ、自分のレベルを信じるしかない。
レベル差がある。
それに神様の祝福もある。
過信はいけないだろうが・・希望的観測すぎるか?
見ていると、トロウルの動きはそれほど速くない。
やはりスピードは大事だろう。
よし!
そう思うと、俺はトロウルに向かって一気に走り、そのままメイスを持ってる腕を斬りつけた。
ん?
軽い・・あまり手ごたえがなかった。
ポトリとトロウルの腕が地面に落下。
ウゴォオオオオオ!!!!
トロウルは叫びながら、腕を拾ってまたくっつけようとしている。
!
まさか?
腕がくっつくのか?
俺はある程度距離を取って見ている。
・・・
くっつく・・わけないか。
そのままボトリと落ちた。
確信した。
こいつはアホだ。
そして、速度で振り回せる。
トロウルは反対の残っている手でメイスを握る。
俺も警戒する。
トロウルがメイスを振りかぶった。
!!
俺は驚いた。
トロウルがメイスに炎を
そのまま俺に向けて振り下ろしてくる。
だが、俺との距離はかなりあるぞ。
トロウルが10歩くらいは歩かないと俺に到達できないだろう。
トロウルは関係なく炎を纏ったメイスを振り下ろす。
ドゴォォーーーーーーン!!
その破壊力は凄まじい。
半径30メートルくらいのクレーターが出来ていた。
なるほど、俺との距離くらいは問題ないという訳か。
周りの地面も震えているようだ。
地震だな。
小さなビルなら、一撃で壊れるんじゃないか?
それにひび割れた地面からは炎が噴き出している。
レベル差のおかげだろう。
衝撃は感じるがダメージを受けるようなことはない。
トロウルが方向を変え、俺目掛けてまたメイスを振り上げる。
ダッ!
俺は一気に距離を詰め、その振り上げたところを刀で薙いだ。
斬(ザン)!
すまないな・・俺はそう思いつつ、トロウルの腕を吹き飛ばしそのまま袈裟切りにした。
もう一体も同じように倒す。
『経験値を獲得しました』
トロウルが蒸発して魔石が残る。
先ほどのオーガと一緒にアイテムボックスにしまっておいた。
これだけ巨大なトロウルを難なく倒せた。
このレベル差というのは凄まじい。
まるでスーパー〇ンになった気分になる。
余程気を付けないと、俺はダメになるだろう。
慢心だけはダメだと自分に言い聞かせた。
・・・
トロウルのメイスが気になる。
う~ん、もらっておいても問題ないだろう。
そう思い、メイスもアイテムボックスの中に入れてみた。
おぉ、消えた。
入るんだ・・慣れてきたが、本当になんでも入るな。
ありがたい。
さて、後はゴーレムだけだが。
・・・
のろいな。
漫画やアニメなどの定番では、額の文字を一つ消せば崩れるんだったっけ?
まぁ、それは魔法とかで制作したときだったかな?
そんなことを俺はいろいろ考えていた。
やっときたな、ゴーレム。
でかいな。
大型恐竜くらいの大きさか、たぶん。
見たことないけど。
それより、俺もあまりビビらなくなってきた。
さて・・できるか。
ゴーレムはいきなり走って向かってきた。
!!
最初、その動作に驚いたが・・遅い。
遅すぎる。
ゴーレムとの距離はまだまだあるが、ゴーレムは右腕を振り上げてそのまま振り下ろす。
決して速くはない。
ドゴォォーーーーーーン!!!!!
!!
だが、威力はトロウルのメイスとは比べ物にならない。
土煙とともに、周囲に
俺は、石が飛んできたので急いで後ろへ下がった。
地面もかなり揺れている。
近くの建物の影に避難したが、マシンガンみたいな威力だな。
2、3発くらったぞ。
HPを見ると50ほど削られていた。
レベル差があるのに、これだけ減らされたのか。
ちょっと怖いな。
しかし、戦闘は始まっている。
逃げてもいいが、こっちがレベルが上だしな。
そこまで考えると、じいちゃんの刀を抜いて一気に駆け寄った。
ダッ!
俺には速攻で近づいて、斬りつけるくらいしかできない。
後は何も考えずにゴーレムの右腕を斬り落とし、そのまま左腕、両足と斬り落とした。
ゴーレムはゆっくりとその場に倒れる。
ズーーン・・。
ん?
何かおかしい。
あまりにあっけない。
それに、ゴーレムの身体が倒れたままだ。
消滅する気配がない。
・・・
・・・
俺はゴーレムの崩れた塊を見ていた。
塊が何やら動いている感じがする。
落とした腕や足が砂になってゴーレムの塊の方へ吸い寄せられていく。
!!
マジか?
修復するのか!
ゴーレムはきれいに元の状態へ戻っていった。
俺の攻撃はいったいなんだったんだ?
そう思っていると、いきなりゴーレムが攻撃を仕掛けてくる。
クソ!
ゴーレムはまた腕を振り上げて振り下ろそうとする。
それを見た瞬間に、俺は急いで距離を取った。
速度は圧倒的にこちらが上だ。
今度は被害がないくらい離れることができただろう。
離れたビルの後ろに隠れる。
ビルの外壁にバチバチと石礫の当たる音が聞こえてきた。
これだけ離れているのに飛んでくるのか?
パワーは半端ないな。
さて、どうしたものか。
やっぱ額の文字を探して消さなきゃいけないのか?
それよりも額に文字なんてあったっけ?
いや、待てよ。
こういった崩れても復活する魔物って核があるんじゃないのか?
定番だよな。
だがなぁ・・核があったとしてもどこにあるんだ?
・・・
俺はビルの影でいろいろ考えていた。
ビルの陰からゴーレムを見る。
無理だ。
戦いながら核を探すことなんてできないぞ。
う~ん・・そうだ!
四肢を切り落として、後は滅多切りにすれば核に当たるんじゃないか?
手足は砂になって本体に戻っていたから核はないだろうし、違うか?
とにかく速度はこちらが圧倒的に有利だ。
これでわからなきゃ、正解をアニム王に聞こう。
それだけ考える余裕があった。
とりあえず、俺の案を試してみる。
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