第96話 二回戦開始

 一回戦が終わった。


 武川盛三VS佐藤久安   勝者―――武川盛三


 内藤隆VS相楽宋士郎   勝者―――内藤隆


 佐々間零VS上地流    勝者―――佐々間零


 景虎VS新堂航      勝者―――新堂航


 岡山達也VS岡山幸喜   勝者―――岡山達也


 郡司飛鳥VS岡山達也   勝者―――郡司飛鳥


 業野秋貞VS卯月知良   勝者―――卯月知良


 吉田・ソムチャイ・AK47VS花聡明   勝者―――花聡明


 ロベルトVS犬養恵梨香   勝者―――犬養恵梨香



 逆シードの岡山達也を除き、8人が出そろった。


 ワンデートーナメント。


 次戦の武川盛三VS内藤隆まで僅かな時間になってきた。


 飛鳥は与えられた個室でマッサージを受けていた。


 マッサージをしているのは、反社会的な人間のように見える。


 男は、今まで飛鳥の戦いを撮影していた男だ。


 飛鳥のマネージャーという立場の人間……名前は何と言っただろうか?


 男はマッサージの素人だ。 人体について何も知らない。


 見よう見まねで覚えたマッサージだが、それでも飛鳥の肉体が異常なのはわかる。


 まるでゴルフボールのように固いコブが背中や太ももにある。


 一体、どういうダメージを受けたら、こんなコブが生まれるのか?


 それに骨の歪み……触るだけでわかる。


 「もう大丈夫だ」と飛鳥。


 「本当に……」

 

 「ん?」


 「本当に大丈夫なのか?」


 「大丈夫、まだ勝ち抜けるくらいの力は残っているよ」


 それは、どういう意味なのか? 戦い、数試合を終える力しか残ってないという意味ではないのか? 


 「お前、あの後に病院に行ったか?」


 あの後と言うのは、ボクサーである大海原祥と戦った後の事。


 試合を終えた飛鳥は、その場で意識を失い倒れたのだった。


 「ん……」


 「……お前! まさか!」


 「心配はいらないよ。これイベントって言ってもメディカルチェックはあるんだからね」


 「だけど……」


 「大丈夫、そろそろだよ。 そろそろ二回戦が始める」


 控室に設置されているテレビには、試合会場の様子が映っている。


 もう既に2人の男が立っていた。


 合気研究家 武川盛三


 破壊空手家 内藤隆


 2人とも酷く穏やかな顔をしている。


 (あぁ、なっちまうんだ。飛鳥と戦った奴は、あの表情に……それを俺は、カメラで……)


 マネージャーの男は内面を吐露しそうになっていた。


 しかし、その機会も許されず、二回戦第一試合がはじまった。 

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