「ペットロスの休暇」
いとり
第1話 毛むくじゃらのキミとの出会い
キミは突然ぼくの前に現れた。
膝を抱えているぼくの前に。
毛むくじゃらのキミはシッポを振って見つめて来る。
ぼくは目を合わせない。
それでもキミは寄って来る。
扉が閉ざされていたとしても。
無邪気なキミはぼくの中へと入って来る。
その日から一人だった日中が二人にものに変わった。
そこに言葉はない。
けれど時間を一緒に過ごす。
ご飯を一緒に食べる。
触れることはしないけど。
一緒に眠る。
そんな渇いた関係。
それでもキミは
シッポを振ってぼくを見つめている。
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