個人製作の無料ゲームアプリをやり込んでたら製作者にストーカーされた件について

一ノ瀬 水々

第0話 監視するもの

 今日も暗いこの部屋で1日が始まる。見慣れた風景、何も変わらない毎日。

焦りを感じつつも、もうどうすればいいか分からない。ただひたすらに現実から目を背ける日々だ。

「とりあえず・・・チェックするか」

 マウスを少し動かしてパソコンをスリープ状態から解除する。唯一ともいえる趣味があって毎日それをチェックするのが日課なのだ。

 本当はもっとやるべきこともあるし考えなきゃいけないこともあるに違いないけど、やっぱり現実逃避に精が出てしまう。

「どれどれ・・・おっ!またこいつ課金してる、ウケる」

 唯一の趣味とは、自分で作ったゲームアプリのプレイ状況を監視することだ。簡単な無料ゲームアプリを1年前に作った。あまりに暇すぎて家にあるゲームをぜんぶ攻略し尽くした結果、やることがなくて自分でゲームを作るに至ったのだ。このゲームがほんの少しではあるが全国にプレイヤーが存在し、毎日プレイしてもらえていることに自分の存在意義を感じる。それが今の自分の楽しみになっている。

 プレイヤーネーム「あいうえあ」、このシンプルなゲームをリリース時から1年間ずっと、ほぼ毎日遊んでいる変人だ。しかもふざけてつけた課金要素にガンガン課金している超変態。

「今日もありがとさん」

 課金に対して感謝の気持ちを述べつつ、パソコンをまたスリープ状態に戻して布団にごろ寝する。よし行動するぞ、と心の中では固く決心しつつ目蓋を閉じる。そんな変わらない日常が今日も始まる。

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