第5話 黒髪の美少女
高校の中間試験が終わって、放課後に図書室まで足を運ぶときのこと。
図書室の引き戸を開き、中に入り、いつもの本のコーナーに足を運ぶ。
今日から刊行された小説を
「いつも、本を借りにくる柳木 龍さんですね」
その立ち姿を見ると、清楚で上品な佇まいに、頭に天使の輪っかを被せた黒い長髪で、制服の上からでも分かるくっきりとした豊満な胸を持つ美少女。
「私の名前は
彼女は、ここで図書員の仕事をして、日々の本の貸し借りをしている。
「もしよかったら、私と本のお話でもしませんか?」
僕が本を借りるときは、彼女にバーコードを打ってもらっている。それもあり、ある程度は知っている。
「はい、僕で良ければ全然構いませんよ」
僕と彼女は、隣になるように空いている席に座り、ここで話すようにした。
「普段はどんな本を読まれているのですか?」
彼女から、最初の質問が投げかけられた。
「普段は文学小説を読むけど、最近は、友達から勧められたライトノベルも少し読んだりするかな」
「文学小説を借りに来ているあなたが、てっきり他のジャンルに興味を持っているとは思いませんでした」
「華さんも文学以外に読んだりはするの?」
「いえ、基本的に文学小説なので」
そんな文学小説もジャンルは豊富である。
「柳木さんはどの作者の小説がお好きですか?」
「今まで読んできた中なら、シェークスピアの作品かな」
シェークスピアの作品の中で、わかりやすいものと言えば『ロミオとジュリエット』だろう。本に興味がない人でも一度は耳にしたことがあるだろう。
「そうですか、私もその人の書いた作品を何回も読み返したことがありますよ」
僕達は、最近の本から古い本の話までをたくさん語り合う。
「柳木さんは、映画とか見られるのですか?」
「うん、たまに見たりするよ」
「そうですか、そういえば最近の映画で『君に届ける音』という映画はご存知ですか?」
「うん…」
「実はその映画を見てから私は"柳木 龍"さんの大ファンになりました」
「え…」
「実は、その柳木 龍さんに対する憧れもあり、小説を書き始めたんです」
彼女は、中学生のときにその映画見てから、原稿用紙約251枚分と手書きで書き上げ、作品を応募したそうだ。
「書いた小説は、応募してから大賞に選ばれて、今では本を出しています」
彼女が書いた本のタイトルは「月のメトロノーム」。ジャンルは彼が出演した作品と一緒のようだ。
「大賞に選ばれるのはすごいね」
「はい、そのおかげで本の売上は200万部突破していますよ」
彼女は超売れっ子のようだ。そして、長く彼女と話している中、時計の針が始業のチャイムの五分前を指している。
「あ、そろそろ教室に戻るよ」
「はい、機会があればいつでも来てくださいね」
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