第1話 理想と現実
また朝が来てしまった。
次の日になるな、朝は来るな、とどれだけ願おうとも、残酷にも月は沈み日は昇ることを繰り返す。
本来ならこんな朝を迎えるはずではなかった。
眠たい目を擦りながらあくびをし、カーテンを開けて大きく伸びをする。
そんなルーティーンをしているはずだった。
しかし現実は、そんな朝を迎えることを許してはくれなかった。
カーテンも開けずに薄暗い部屋で制服に着替える。
ふと、全身鏡に視線を移すと、そこには笑顔の消えた私、菊月梨沙が居た。
身支度を済ませ、朝食も食べずに玄関へと足を進める。
両親は朝早くから夜遅くまで共働きの為、一緒に生活をすることはほとんど無い。
ドアノブを捻る音が小さく響く。
「行ってきます」
誰も居ない家に向かって言い、私は今日も、独りで地獄へと向かう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます