ロボットものだったらいいなあ

竹内緋色

アリスの庭で ①

「我らの母なる惑星であった地球でありますが、環境汚染により人類が宇宙へと移住し、環境改善が計られました。あらゆる計画の成果もむなしく、すでに地球の環境汚染は止められない段階まで進んでおり・・・」


 我らは宇宙の奥深くまで資源の搾取をすることに決めたのです。

 そう続くことをイシアはよく知っていた。

 イシアだけではない。

 このエイドック連合所有スペースコロニー『ヘンハウス』の人間なら誰でも知っている。

 もしかせずとも、全人類は皆知っていることなのかもしれない、とイシアは思った。思いながら頬杖をつき、教室の窓から空を見る。

(他のコロニーには行ったことがあるけど、他の国には行ったことがないな)

 故に、イシアは他の国でも同じような教育がされているのか知らない。


「ネエネエ。イシア。なにを考えてるの?」


 イシアたちの学年はもうすぐ卒業なので、ほとんどの生徒が授業そっちのけであった。イシアに話かけたネネに関してはいつも授業そっちのけではあったが。


「いや。他の国ではどんな教育とか生活とかしてつんだろーなーって」

「イシア。あまりそういうことは考えない方がいい」


 話を聞いていたザ・メガネっ子、フィサラが注意する。


「ええ。どうして。フィサラ。ネネ、他の国がどうなってるのか知りたいよお」


 イシアとフィサラは同時にため息をつく。


「ネネ。宇宙に進出した人類は3つの国に別れた。知ってるだろ?」


 性格には主義や思想の相違により、コロニーが3つのグループに別れた、と言うべきである。


「3つに別れた国、私たちの国、エイドック。産業国アメシア連邦、そして国として認められていない国、ハンカ」

「どうしてハンカは国として認められていないの? みんな国だって思ってるのに」

「それはエイドックとアメシアがーー」

「イシア。それ以上は考えない方がいい」


 フィサラに言われてイシアは言ってはいけないことまで言いそうになっていたことに気づく。


「ねえ。どうしてどうして?」

「ハイハイ。ネネはいい子だからね。昼から遊びに行くんでしょ」

「うん! 私たちの配属される基地に行くんだよねっ」


 ネネは嬉しそうに言う。

(私のたちはもうすぐ軍人になるというのに。ネネはそのことを理解しているのだろうか)

 イシアがフィサラをちらと見るとイシアが同じようなことを考えていそうな、神妙というか、呆れを通り越した顔をしていた。


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