三回戦

 三回戦が始まりました。BCFやWGPといった大型大会で三回戦まで上がったのは今回が初めてです。


 対戦相手と顔を合わせると、相手が「先行後攻はじゃんけんで決めますか? マーカーで決めますか?」と訊いてきたのですが、私はマーカーの意味がわからず「マーカー?」と訊き返しました。すると、相手はマーカーで同意を取ったと思ったのかプレイマットの下から二枚のカードを取り出して裏向きで私の前に置き、「どっちか選んでください」と言いました。私はマーカーで先攻後攻を決める文化を知らないのでかなり戸惑いましたが、ここで突っぱねるのは野暮だと思い、一枚マーカーを表にかえしました。先攻でした。


 こちらの立ち上がりはまずまず。アタッカーのTH(トーキング・ヘッド)がいるので初パン(最初のアタック)安定で行きました。ジョジョのレベル0は多パンするタイプのタイトルではないので概ね帰ってきます。よしよしと思いながら相手にターンを返すと――相手は3パンしてきました。


(おいぃ!? まさかお前、「そっち」なのかよぉ!?)


 一瞬で相手のデッキタイプがわかりました。高速のビートダウン。とにかく多く殴ってCX撃ってダメージレース有利でそのまま勝ってしまおうというデッキタイプです。ジョジョの立ち上がりがゆっくり気味であることを利用したタイカプならではのデッキです。CXも扉と門の二つで、両方1の対応というかなり割り切った潔い構築でした。


(まずい……どっちだ……?)


 こうしたデッキを相手にする場合、二つの選択肢があります。


 一つ、相手の土俵には立たない。自分のペースを崩さずしっかりプレイする。


 二つ、こちらもすかさず3パン返し。受けたダメージは必ず返す。アドよりレース重視。


 私が選んだのは後者。ムキになって3パン返しでした。


(ここで殴らなかったらリバースできなかったキャラがただで相手に帰る! そうしたらタダで殴られていることになって相手の思う壺。レースでも負けてボードアドでも負ける! そうなったらもう負け一直線だ!)


 基本的に賢いのは前者のプレイングです。自分の構築を信用しているからこそ、スタイルは崩さない。盤面をきっちり取って後でレースを返す。それが正しいということは私も理解しています。しかし、ジョジョは一度ついたダメージレースは返せないタイトルだと私は感じていました。そして、自分が使う金塊扉はレベル3プロシュートを使わない限りひっくり返らないであろうということも理解していました。ですので、私は先攻2ターン目にして早くも「覚悟」を決めました。


 盤面三面並べ、CXを撃ち、相手のキャラを全部踏んで相手にアドを稼がせない。思い切ったことをしたなあと今更ながら思います。これをすると手札が先行2ターン目にして枯渇するのでやっちゃいけないプレイングの一つなのですが、やっちゃいました。


 結果はそれが効したのかダメージレースで大幅に有利を取り、押し切って勝つことができました。


 ちなみにゲームの内容は、金塊を撃って金塊をトリガーし、集中をヒットさせ、ほどほどにキャンセルするという化け物じみたことをしていたので、運が良かっただけと言わざるをえません。無茶なプレイにデッキが答えてくれた良い例だと思います。もう二度としません。


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