第56話 暗殺者

孔明は勇者暗殺を依頼するべく盗賊ギルドへ向かった。


Bシェルターには盗賊ギルドが存在し、そこに所属する盗賊達の中には暗殺を生業とする者もいた。


盗賊ギルドの中でも忌み嫌われている暗殺者達は盗賊ギルドの本部の酒場にはいない。


彼らの仕事の性質から普段の生活も他者と関わらずに誰も知らぬ所でひっそりと暮らしていた。




孔明は盗賊ギルド本部に着くとカウンターに座りバーテンに注文を告げる。




孔明:「スティンガー・・・」




バーテンの表情が曇る。




バーテン:「お客さんそいつはうちではできません。他所にいってください。」


孔明:「そうか・・・ではブルームーンとバーボン」




バーテンはやれやれとあきらめたような表情でカウンターの奥へ向かい、カクテルを作り始める。


酒場には盗賊達がテーブル席にたむろしており、孔明を値踏みしている。


孔明がたしなめるようにそちらに目を向けると皆一様に視線をそらした。


孔明は懐から二枚の写真を取り出し左の空席の上に置く。


盗賊ギルドにまた一人来客が現れ、孔明の隣に座る。


頭からフードをすっぽりかぶっているので男か女かも区別ができない。


奇妙な客はテーブルに置かれた写真を手に取り眺めている。


カズマとマリの写真だった。


その時バーテンが酒を持ってきて孔明の前にブルームーンを奇妙な客の前にはバーボンを置いた。




孔明:「その二人はサンライト城にいる。」




孔明は独り言のように呟くとカクテルを一息に飲み干す。


奇妙な客もバーボンを一息に飲みこむ。


孔明はグラスを置いた後、懐から金貨の入った袋を取り出し、テーブルの上に置く。


そして席を立つと無言で盗賊ギルドを出ていく。


奇妙な客は写真と金貨の袋を懐に納め孔明の後を追うように盗賊ギルドを出て行った。




カズマとマリの暗殺が交渉され、成立したのである。

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