第50話 尋問
二時間後
マリは泣き疲れてカズマに抱きついたまま一緒に眠っていた。
マリが眠ってから少ししてカズマは目を覚ました。
カズマ:「ここは・・・俺は確か・・・」
カズマは上半身を起こそうとする。
頭に痛みが走る。
手で頭を押さえなでると記憶が蘇ってくる。
『確かあの女が何か唱えた・・・魔法か?』
マリを優しくベッドに寝せてカズマは起き上がった。
待機所のドアを開けるとシュウとドグマが談笑していた。
二人はカズマに気付くと声をかけた。
ドグマ:「よう大将!派手にやられたな!」
シュウ:「あんなオナゴにやられて恥ずかしいべ!」
二人は笑いながらカズマをからかう。
カズマはまだボーっとした頭のまま二人に尋ねる。
カズマ:「あの司令官は今どこだ?」
ドグマ:「向こうの独房にぶち込んでるよ。」
カズマは二人にかまわずに独房の方向に向かった。
シュウとドグマは顔を見合わせた後カズマを追いかける。
ドグマ:「オイ!カズマ!アイツに何する気だ?」
カズマ:「ちょっと聞きたい事があるんだ。オマエ達は来るな。」
シュウ;「いや~また魔法で吹き飛ばされるかもしれねぇからオラ達もついていくだ。心配だべ。」
飄々と言うシュウをカズマは睨みつけた。
ドグマもニヤニヤしている。
カズマ:「勝手にしろ・・・邪魔すんなよ。」
カズマは再び独房へ歩き出した。
独房へ着くとレムが両手と両足に手錠をかけられていた。
守衛が一人いたがカズマは席を外すようにうながした。
レムはニヤニヤと薄ら笑いを浮かべている。
カズマはレムを睨みつけ、質問をはじめる。
カズマ:「お前の名前は?」
レムは答えずにニヤニヤしている。
カズマはレムの背後に回り、レムの右手を持つ。
ボキッ!
カズマはレムの人差し指の骨を折った。
レム:「いてぇ!」
レムが叫び声をあげるとシュウとドグマはカズマに駆け寄る。
ドグマ:「オイ!何してるんだカズマ!」
シュウ:「やりすぎだべ!」
ドグマはカズマの胸ぐらをつかむ。
カズマはそれを振り払った。
カズマ:「邪魔するなっつっただろオッサン。」
カズマは激痛にもだえているレムの髪をつかみ頭を上げさせる。
カズマ:「お前の名前は?」
レム:「レムだ・・・」
レムの顔には脂汗がにじんでいる。
カズマ:「レム・・・鎧兜の男の事を話せ。」
レム:「鎧兜の男?我が軍には大勢いて誰の事を言っているのかわからんな?」
カズマは再びレムの右手をとり中指の骨を折る。
ボキッ
レム:「ギャァァァァ!」
激痛にもだえるレム。
再びレムの髪をつかみカズマは質問する。
カズマ:「テメェが注射打ってあげてる薬中だよ!アイツは何だ!」
レム:「アイツはクローンだ!遺伝子操作で作ったクローンだ!」
独房の薄明りの中カズマはレムを睨みつけている。
指を二本折られた激痛にレムは息を荒くしている。
カズマ:「誰のクローンだ?」
レム:「それは本当に知らん。だが不思議な事に貴様によく似ている。」
そう言いながらレムは薄く笑っている。
レム:「最初オマエを見た時驚いたよ。そっくりだ。オマエのクローンなのか?」
クククとレムは笑っていたがカズマの表情は対照的に凍り付いたままだった。
カズマ:「あの男に何を仕込んだ?筋肉増強剤か?」
レム:「そんな生易しいもんじゃない、モンスターのエキスだよ。」
相変わらずレムは息を荒げながらもニヤニヤ笑っている。
レム:「アイツは実験台さ。あらゆるモンスターのエキスをぶち込んでどれがより効果的か試してるんだ。」
カズマは強く拳を握りしめる。
シュウがその様子に気付いた。
ドグマに目配せをして注意を促す。
レム:「今じゃ立派なバケモノの仲間入りだ。ポンコツだが役に立つぜぇ?オマエにもぶち込んでやろうか?」
ヒャハハとレムは笑い声をあげる。
カズマの目が怒りに燃える。
カズマがレムに向かって拳を撃ち込もうとした瞬間シュウとドグマがカズマの腕を止める。
拳はレムの顔面の直前で止められた。
新兵器を装備した拳が当たっていればレムの頭部は吹き飛んでいただろう。
レムはカズマの拳の勢いで気絶した。
カズマはなおもレムに襲い掛かろうとするがシュウとドグマが取り押さえた。
カズマ:「放せ!コイツぶち殺してやる!」
ドグマ:「やめろ!カズマ!落ち着け!」
シュウ:「カズマさん!深呼吸しろ!」
興奮しているカズマをシュウとドグマがなだめる。
カズマの呼吸は乱れ、目が血走っている。
ドグマ:「そうだ、カズマ。深呼吸しろ。ゆっくりだ。」
シュウとドグマがなだめるうちにカズマは呼吸を整え落ち着きはじめた。
シュウとドグマがカズマを解放するとカズマは独房の壁に背をつけて座り込む。
ドグマは独房から出て回復魔法を使える僧侶を一人呼ぶように命令した。
シュウは座り込んで下を向いているカズマに声をかける。
シュウ:「カズマさん。城にもどるべ。少し休もう。」
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