第44話 ジャンキー
カズマがモニターに映し出したのはAシェルターの戦闘記録。
まずはAシェルターが攻め込まれる映像を見てみる。
Aシェルターのカメラによる映像なのだろうかやや遠めなので映像をズームアップしてみる。
やや上空から城周辺を撮影したと思われる映像にはモンスターの軍勢の侵攻がはっきりと映っていた。
オーク、ゴブリン、トロール、リザードマンの混合部隊の攻撃は並みの人間では抑えられない。
Aシェルターの弓、剣、槍での攻撃はモンスターの硬い皮膚を傷つける事はできずに次々と蹴散らされていく。
何体かのオークとゴブリンを倒す事ができた様だが、トロールとリザードマンには成す術がなかった。
その時カズマは気づいた。
大勢のモンスター軍の中にたった一人人間がいるようだ。
その人間をズームアップしてカズマは驚いた。
それはDシェルターとの和平会談に現れた鎧兜の男だった。
男は大きな槍を振り回し、モンスターさながらにAシェルターの兵士達を吹き飛ばしていく。
明らかにモンスターよりも戦闘能力は高い。
『何者だ?コイツ・・・』
カズマは鎧兜の男の映像を何度も繰り返して見ていた。
『左・・・次は右・・・左に行ってそのまま突っ切る・・・』
鎧兜の男はカズマが考える攻撃パターンと同じ動きをしている。
確かにドグマが言ったようにカズマが鎧兜をかぶって撮った映像の様に思える。
しかしカズマは何か違和感を感じていた。
『何だろう・・・?魂がぬけてるみたいなんだよな。』
カズマは鎧兜の男の分析は後回しにしようとして映像を先送りした。
すると突然鎧兜の男が苦しみ出しその場に倒れた。
Bシェルターの指揮官らしき男が慌てて鎧兜の男に駆け寄り、注射を打つ。
『ドーピングか?薬物の副作用なのか・・・』
そこで鎧兜の男は後退し、映像画面から消えた。
カズマは鎧兜の男が苦しみ出すシーンを巻き戻して何度も再生した。
『ヤク中の禁断症状だよな・・・』
次にカズマはシューティングスター城が包囲されている映像に切り替えた。
Aシェルターの兵達が城門を破城槌で破ろうとしている。
そこで城門が開き中からモンスター達が飛び出してくる。
Aシェルターの兵士達はパニック状態で逃げ惑う。
モンスター軍が襲いかかる中、鎧兜の男が馬に乗ってAシェルターの軍勢に突っ込んで来た。
先ほどの映像では槍を使っていたが、この映像では剣を使っていた。
また攻撃力も先の映像よりも劣っているようでモンスターとは比べ物にならなかった。
その後ろからもう一人馬に乗って現れる。
『アレクだ。』
アレクが馬を駈ってAシェルターの軍勢に襲い掛かる。
手には大きなハンマーを持っている。
アレクはハンマーを両手で持ち直し、Aシェルターの兵士を横殴りする。
ハンマーヘッドが兵士に当たると爆発を起こし、兵士が粉々になって後ろに吹っ飛んでいった。
『面白い武器を使うな。』
アレクはハンマーで敵を吹き飛ばしながら進んでいく。
モンスター軍も逃げ惑う兵士達に容赦なく襲い掛かっていた。
圧倒的な強さでモンスター軍はAシェルターの兵士達を退けてしまった。
カズマはもう一度映像を巻き戻しアレクをズームアップした。
そしてアレクの動きを何度も繰り返し再生してみる。
『パワータイプだがスピードもあるな。アジア系じゃなさそうだ・・・』
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