第41話 爆発
カズマは鉄仮面を外し、馬に乗って城へ戻った。
チーム阿修羅のメンバーも城に戻り、中断していた会議を再開した。
ドグマ:「カズマ、どういう事かきちんと説明しろ。訳がわからん。」
カズマ:「説明・・・何から説明したもんか・・・」
シュウ:「まずあの鎧兜の男の映像だべ。あれはいつ誰を撮ったものか教えてほしいべ。」
カズマ:「あれは何年か前のDシェルターとアレクの和平交渉の映像だよ。映っているのはアレク。当時のニュースの映像がDシェルターにあったからもらってきた。」
ドグマ:「信じられん。こいつはオマエの動きそっくりだ、カズマ。」
カズマ:「俺は自分の動きを客観的に見れないから気づかなかった。王女も気づいたのか?」
マリ:「こいつがアレクだと最初に聞いてなければ私もドグマと同じ事を言っていただろう。」
カズマ:「じゃあ次はこの映像を見てくれ。」
カズマは先ほど城門で撮影したアレクの映像をモニターに映した。
今度もマリ、シュウ、ドグマの三人はジーっと映像を見つめた。
三人共眉をひそめている。
ドグマ:「こいつがアレクだよな?」
カズマ;「そうだよ。さっき見てたろ?」
シュウ:「これは・・・」
マリ:「鎧兜の男とはまるっきり別人じゃないのか?」
カズマは黙って頷いた。
カズマ:「こうやって映像を見比べるとわかるよな。これは別人だって。」
ドグマ:「ではどっちが本当のアレクなんだ?」
シュウ:「どっちも本物じゃない可能性もあるべ。」
カズマ:「俺の勘じゃ今日城門に来たのは本物のアレクだよ。」
マリ:「ではDシェルターで和平交渉をしたのは何者だ?」
ドグマ:「そうだ。オマエそっくりな動きの男は何者だ?」
カズマ:「それはわからんね。アレクに聞くか・・・」
そう言うとカズマは映像を止めた。
カズマ:「よし!次の議題いくぞ!」
ドグマ:「なに?鎧兜の男の話はもう終わりか?」
カズマ:「こいつ何者なのかずーっと考えてたんだけど思いつかねぇし、正体わかったところで特に役に立ちそうもないしなぁ・・・」
カズマはモニターを完全にOFFにして次の議題に移った。
カズマ:「次の議題はFrozengunの訓練だがどういう感じだ?」
シュウ:「Highpressureの訓練をしていたらFrozengunの訓練はそんなに苦労しねぇだ。」
ドグマ:「まあ二、三日で皆両方使えるようになるはずだがFrozengunの数が足りないな。」
カズマ:「おっと、忘れてた追加で作っておくよ。」
マリ:「Dシェルターの方はどうなんだ?Frozengunは扱えそうか?」
カズマ:「まあ時間はかかるかもしれないがなんとか使えるだろうよ。共闘の約束をしたようだが詳しい内容教えてくれ。」
マリ:「共闘の内容は時期を見てBシェルターに攻撃をかけるというものだ。防衛は各国自分達で行うことも合意した。」
カズマ:「それがいいな。向こうの防御をするほどこちらには戦力がない。」
ドグマ:「Dシェルターの軍事組織はどんな感じだった?」
カズマ:「向こうのコンピューターの端末をいじった時に調べたんだが、規模は向こうの方が大きかったよ。人数は倍以上だな。」
シュウ:「直接見てこれなかっただか?」
カズマ:「ちょっとは見てくるつもりだったんだが予定外の事があってな?」
ドグマ:「予定外の事ってなんだ?」
カズマ:「俺が伝説の勇者様だとバラしちゃいました。」
マリが必至で笑いをこらえている。
ドグマ:「オマエなにやってんだよ!」
カズマ:「そんなに怒んなよ。あちらさんの情報収集能力や観察眼はずば抜けていたよ。だがお陰でコンピューター使わせてもらったし、強引に帰る事もできた。」
シュウ:「カズマさんの情報が敵に漏れたら危険だってわかるべさ!」
カズマ:「わーかってるって!ただゾンビウイルスに感染したゲドとかいう奴がBシェルターに戻れば勇者の存在が奴らに知れるのはわかってたんだよ。Dシェルターの人間は最近のうちの状況を見て、改革がはじまった事に気づいていたんだ。サンライト城に勇者降臨といううわさは既にあったんだよ。
俺があそこに行ってそれが確信に変わったってだけだよ。」
ドグマ:「それでもわざわざ言う必要はなかったろうに。」
カズマ:「それは僕の失敗でした・・・すいません。」
カズマが素直に謝るのでマリが笑いながら助け船を出した。
マリ:「ヒデ国王とスイートウォーターの住人は噂好きでな。それに勘も鋭い。カズマじゃなくても隠し事はできなかっただろう。あまり責めてやるな。」
カズマ:「俺はヒデとミツに絶対漏らすなって言ったんだ。でも俺たちが出発する時には全住人が見送りにきたよ。まだ夜明け前なのに『勇者様~』って大声で叫ぶんだよ。まいったぜ!」
カズマがそう言うと皆爆笑した。
マナ:「シュウ様ドグマ様。あの場合カズマ様の判断に間違いはなかったと思います。スイートウォーターの人達も勇者様到来を待ちわびていたんです。そして本当に勇者様が到来されたと知って大きな希望を持ったんです。これで世界は救われると。」
シュウ:「まあ二人がそういうなら仕方ないべ。」
ドグマ:「王女にそう言われたらな・・・」
カズマ:「あ、そういえば言い忘れてた。今日のアレク訪問はマナが予想済みだった。」
ドグマ:「マジでか?」
カズマ:「マナ先生のアレク情報もなかなかレアでな。皆に教えてちょ。マナ先生。」
マナはカズマに教えたアレクの情報をメンバーに教えた。
シュウ:「へー結構マナさんすごいべ。」
マナ:「そそそんなことありません。」
カズマ:「だろ?この娘は結構やりますよ旦那。軍師でもやってもらおうかしら?」
ドグマ:「茶化すなカズマ!」
カズマ:「まあ情報収集と発表はこんな所だ。次は今後の予定だな。」
マリ:「シューティングスター城攻略の段取りは考えているのか?」
カズマ:「ああ、大体構想はできてきた。援軍をもらえる事がわかったからな。ただ時期はもう少し状況見てだな。」
ドグマ:「なんだ?俺はすぐにでもいけるぞ?」
カズマ:「Dシェルターの人間はまだろくにFrozengunの訓練をしてねぇんだよ。足並みそろえないとかわいそうでしょ?」
シュウ:「あとシューティングスター城周辺の様子を調べたいべ。」
カズマ:「空上写真ならコンピューターの衛星カメラで撮れた。」
ドグマ:「侵入経路とかあるのか?」
カズマ:「いくつか候補はあるがやはり現場見てみたいよな・・・シュウ、諜報活動した事あるか?」
シュウ:「傭兵時代に何度かやったことあるだよ。任せてけれ。」
カズマ:「よし地図を印刷しとくよ。あと今後の向こうの出方だが・・・マナ先生予想を聞かせてくれ。」
マナ:「えとえと、アレクさんはシューティングスター城に戻ったらリザードマンの軍勢でサンライト城に攻撃をしかけてきます。」
カズマ:「どのくらいの期間で来る?」
マナ:「えとえと、多分明後日には攻めてくると思います。」
マナの言葉にカズマ以外の皆が驚いている。
マリ:「そうなのか?マナ!」
マナ:「ははははい。アレク様は今日勇者様に会いに来ました。ゾンビウイルスをお返しに使った事で興味を持ったんだと思います。ただ帰り際に『期待外れだったな』と言ってました。」
カズマ:「オマエ聞こえたのか?」
マナ:「口を読みました。あと『臆病者に用はない』ともいってますね。カズマ様が仮面をつけていた事からほしい情報が得られなかたのでしょう。こちらの戦力を読む為の軍勢をすぐにでも派遣してくると予測します。」
カズマ:「ありがとうマナ先生、それで間違いないと思います。そんなわけで明後日はまた戦闘がある、闘技場の皆にもそう知らせてくれ。」
ドグマ:「そういう大事な事は早く言えよ!」
カズマ:「何事も段階があるんだよ、オッサン!帰ってきていきなり今日アレク来ます明後日はリザードマンの軍勢来ますって言っても信じられんだろうがよ!しかも予測だ。外れるかもしれねぇがもし当たってるなら何もしなきゃアウトなんだよ!」
シュウ:「Frozengunはすぐに使えるべか?」
カズマ:「だからアレク問題の次に聞いたじゃねぇか。二、三日で習得できるくらいなら問題ない。実践で使いながら習得できるよ。ホラ、いいタイミングで450丁完成した。これ皆に支給してくれ。」
マリ:「せわしないな・・・一つ一つが綱渡りなのに落ち着く暇がない。」
カズマ:「今は戦争中だよ王女様。宴なんかを開くのも目的がきちんとある。ただ遊んでるわけじゃねぇんだ。俺が指示する事だってその場の思いつきじゃねぇんだ。流れを考えてやってる。せわしないとか泣き言言う前にこいつを全員に支給してくれ!」
カズマのピリピリした雰囲気に皆静まる。
フーとカズマがため息をつく。
カズマ:「悪かった・・・言い過ぎた・・・」
そう言うとカズマは席を立った。
カズマ:「会議は以上だ。Frozengunを全員に配ってくれ。あと明後日はアレクが今日来たのと同じ時間にモンスターが来る。その事も伝えてくれ。」
ドグマ:「カズマ!どこへ行く!」
カズマ:「ちょっと疲れた・・・頭冷やしたいから部屋で眠ってくる。」
そういうとカズマはコンピュータールームを出て行った。
マナ:「実はカズマ様ほとんど寝てないんです。なんか不安な事があるらしいです。」
マリ:「そうなのか?」
マナ:「はい、『僕の不安はどうなるの?』って言ってました。」
ドグマ:「俺たちに相談すればいいのに・・・水臭い奴だ。」
マナ:「カズマさんでどうしようもなくなったら私達に相談してくれると思います。実際Frozengunの訓練と支給はマリ様、シュウ様、ドグマ様にお願いしてるじゃないですか?皆さんを信頼している証拠です。」
シュウ:「そう言われてみればそうだべ・・・」
マリ:「まったく自己中心的な奴だ・・・仕方ない言う通りにしてやるか。」
マナ:「はい!私も手伝います。」
皆が一致団結する中でメイが一人眠っていた。でメイが一人眠っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます