第40話 アレク訪問

スイートウォーター城を飛び立ってから3時間程するとサンライト城が遠くに見えてきた。


天気だけが心配だったが、道中大きな乱れはなかったのでかなり助かった。


本来ならば一週間以上かかる道のりである。


気球はそれから一時間程でサンライト城に着いた。


カズマはマリに到着を伝えると城でチーム会議をする事を提案した。


カズマもマナも疲れていたが、それよりも皆に伝えたい情報があった。


二人は城の大広間を通ってエレベーターへ向かった。


すると訓練所のほうからマリとメイが現れた。


メイがカズマを見つける。




メイ:「あ!パーパだ!」




メイはカズマに駆け寄り飛びついた。


カズマはメイを受け止める。




メイ:「パーパおかえり!」


カズマ:「ただいま。ちゃんと訓練してたみたいだな。」




カズマはメイを抱きしめて頭をなでてあげる。


マリがカズマに近づいてきた。




カズマ:「ただいま。」


マリ:「おかえり。ご苦労だった。」


カズマ:「よし!みんなでコンピュータールーム行こうか。シュウとドグマには連絡したか?」


マリ:「ああ、もう少ししたら闘技場を抜けてくるそうだ。」


カズマ:「そうか、ちょっくら皆に見てもらいたいものがある。」


マリ:「見てもらいたいもの?」


カズマ:「まあまず下に降りよう。」




そう言うとカズマはメイを下におろした。


メイはカズマの背後からつかみかかりカズマがおんぶをする。


メイは一日カズマから離れた寂しさを埋めるように甘えていた。




メイ:「パーパ、会議終わったら遊ぼ。」


カズマ:「ダメだ、ちょっと客が来る。」


メイ:「誰?」


カズマ:「後で教えるよ。」


メイ:「パーパかまってよ~」


カズマ:「わーかったって!お客さん帰ったらゲームやる。それでいいだろ?」


メイ:「うん!パーパ大好き。」




コンピュータールームに着くとカズマはDシェルターでもらったメモリースティックを差した。


コンピューターに動画ファイルの再生を指示するとアレクの映像が流れた。




カズマ:「こいつがアレクだ。スイートウォーター城に一人で乗り込んできたらしい。」


マリ:「顔が見えないな・・・」


カズマ:「ああ、兜というより鉄仮面だな。表情を見たかったんだが仕方ない。動きを見て何か気づいた事はあるか?」




カズマは映像をリピート再生にした。


マリは映像をジーっと見ている。


マリの全身から汗が噴き出る。


それから次第に顔が青ざめていく。




マリ:「こいつがアレクなのか・・・?」


カズマ:「ああ、アレクを見るのは初めてか?」


マリ:「初めてだが・・・まさか・・・でも・・・」




マリの動揺している姿を見てマナは心配した。




マナ:「大丈夫ですか?マリ様。」




その時シュウとドグマがコンピュータールームに現れた。




ドグマ:「おお、カズマ帰ってたか。ご苦労だったな!」


シュウ:「カズマさんマナさんお帰りだべ。」


カズマ:「おーいい所に来た。二人もこの映像を見てくれ。アレクだ。」




シュウとドグマはモニター画面の映像を見た。




カズマ:「二人もこれ見て何か気づいた事があれば言ってくれ。」




二人はジーっと映像を見る。




ドグマ:「カズマオマエふざけてんのか?」


カズマ;「何が?」


ドグマ:「オマエスイートウォーター城で自分の動画撮って遊んできたのか?」


カズマ:「何言ってんだよこれはアレクの映像だって・・・今なんつった?」




ドグマの言葉にカズマは凍り付いた。




ドグマ:「だって顔隠してるがこれはオマエだ。動きでバレバレだぞ?」




カズマはシュウに聞いた。




カズマ:「シュウ・・・オマエの感想は?」


シュウ:「オラの感想もドグマ隊長と同じだべ・・・」




その時城門の守衛からドグマのワイヤレスマイクに連絡がきた。




カズマ:「ドグマだ。どうした?」


守衛A:「ドグマ隊長、城門の前でアレクと名乗る男が勇者様を呼んでいます。至急こちらに来てください。」


ドグマ:「わかった。直ちに向かう。」




ドグマはワイヤレスマイクを切り、全員に言った。




ドグマ:「城門にアレクと名乗る者が現れた。カズマ、オマエを呼んでいるそうだ。」


カズマ:「マナ、お前の予想通り来たぜ。」




カズマはそう言うと城門へ向かった。


城門へ行くまでの間、カズマはドグマの言葉を思い浮かべていた。




『俺は自分の動きを客観的に見たことがない・・・だからアレクと瓜二つの動きだという事に気付かなかった・・・』




城門に着くとカズマは鉄仮面を被った。


城門の見張り台に登ると城門の前に立っている男が一人。


カズマは男に向かって叫んだ。




カズマ:「お前がアレクか?」




アレクは嬉しそうに応えた。




アレク:「そうだ!オマエが勇者とやらか!?」


カズマ:「そうだ!俺が勇者だ!はじめまして覇王様!」




アレクは顎髭をさわりながら不敵な笑みを浮かべている。




カズマ:「ゾンビウイルスのお返しはどうだった?」


アレク:「フハハハ!粉々に吹き飛ばしてくれたわ!」


カズマ:「今日はどうした?タイマンでもするか?」


アレク:「勇者とやらがどんな奴か見に来た!その仮面を取れ!面構えを見てやる!」


カズマ:「人見知りするんだ!断る!」




クククとアレクは笑いながらカズマに背をむける。




アレク:「期待外れだったか。臆病者に用はない。」




アレクが城門を後にするのをカズマは見つめていた。




カズマ:「マナ、撮れたか?」


マナ:「はい、バッチリズームでとりました。」


カズマ:「よしそいつを持ってまた会議に戻るぞ。」

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