第30話 迂闊な二人
訓練所でカズマとマリは寄り添いあっていた。
カズマの胸にマリは頭をのせ、カズマはマリの肩を抱いている。
お互い幸せな時間だったが、他の誰にも知られるわけにはいかない。
マリは思い切ってカズマから離れシャワーを浴びに行った。
『やっちまった・・・』
カズマも立ち上がりシャワーを浴びに行く。
頭から温水をかぶり顔をゴシゴシと洗う。
『この時代に未練残すだろうがよ!』
カズマは心の中で自分を罵倒した。
元の時代に戻る為に戦っている。
この時代に執着を持つと相反する感情となり迷いを生む。
そしてその迷いはいずれ自分の首を絞める事になるのだ。
シャワーを浴びた後訓練所に戻るとマリは既にいなかった。
カズマは部屋に戻り朝食をとった。
8時になり、メイの部屋に行くとメイは二日酔いでまだ寝ていた。
メイ:「パーパ・・・頭痛い・・・」
カズマ:「とりあえず味噌汁持ってきたから飲め。大分スッキリするはずだ。」
カズマはメイに味噌汁を飲ませ、自分はコーヒーを飲む。
味噌汁を飲んだ後またグッタリしていたメイだが、しばらくすると復活した。
メイ:「パーパ、訓練しよ。」
カズマ:「今日はいいんじゃないか?調子悪いだろ?」
メイ:「大丈夫、パーパのお陰で治ったよ。」
訓練所に行くまでの間メイはしきりに話しかけてくるがカズマは上の空だった。
マリとの行為の後の訓練所に行くのは犯罪現場に戻るような感覚で気が重かった。
訓練所に着くと二人は一時間程度組手の稽古をして切り上げた。
訓練所から闘技場へ行く間、遠くの方にマリを見つける。
メイ:「マーマ!おっはよ~!」
マリは一瞬ビクッとするがメイに優しく微笑んで「おはよう」と返事した。
カズマと目が合うと顔が真っ赤になるマリ。
カズマも顔が真っ赤になる。
その様子を見たメイがニヤケ顔で二人をちゃかす。
メイ:「あれ~?昨日なんかあったん?エッチしたん?」
マリの顔がますます真っ赤になり、とうとうその場から逃げ出した。
カズマがあわててメイの口をふさぐ。
カズマ:「黙れ!バカ娘!」
メイ:「パーパ、やるときゃやるね。」
メイが相変わらずニヤケているのに腹が立ったカズマはメイの頭をげんこつで小突いた。
メイ:「痛い~」
カズマは深いため息をついて頭を押さえた。
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