桜庭美玖の悩み
ハナビシトモエ
第1話 遊園地に行きましょう
私は桜庭美玖という普通の女子大学生だ。もう二度目になる春で大学のキャンパスには華々しい青春や苦悩、勉学的悩みなど数多溢れているが、私の悩みは一つ。
「もうさ、青春の悩みだけにしとけよ」
ケロちゃんはお弁当のから揚げをつまみながら、面倒くさそうにつぶやいた。
「いや、そんな些細な問題じゃないよ。あぁ、どうしよ。選べない」
「美玖、大体な人の弟をなんだと思っている」
「ケロちゃんのとこの優成くんもいいけど、褐色ショタの龍くんもたまんない」
普通の大学生だ。近所のショタに頭を悩ませられる純粋な乙女だ。
「なーにが純粋な乙女だ。いい加減人の弟に劣情を傾けるのはやめろ」
「違うの! 劣情じゃないの。私は肉体的濃厚接触は避けたいの!」
「じゃ、何がいいんだ?」
「例えば、私と優成くんが一緒にぽぽぽランドにデートに行って、電車を降りた時にちょっと優成くんがよろめいて、つい手が出ちゃって優成くんを支えてあげる。そしたら優成くんは顔を赤らめて「ありがとう、ございます」とかいうわけでそ」
「あー、分かった。気持ち悪さがあふれている。肉体的に接触してるからね。それ」
「それから、コンビニでお茶を買うんだけど、優成くんは甘いジュース、特にオレンジジュースが好きで、お茶って優成くんが言ったはずなのに、オレンジジュース見てるから、私が「オレンジジュースでもいいんだよ?」って言ったら「いや、別にお茶でいいんです」とか言って名残惜しそうにオレンジジュースの棚を後にするけど、私が優成くん用に買ったオレンジジュースを後で渡したら、キラキラした目でこっちを見て「美玖お姉さんいいんですか?」って無垢な目でこっちを見るの。てか美玖お姉さんよりお姉ちゃんの方がお姉さんは嬉しいぞ。でも優成くんなら、お姉さんでもガチ萌え。照れ」
「怖いわ。なんでうちの弟がオレンジジュース好きって知ってんの。というか妄想長すぎない?」
優成くんと後もう一方を好きでたまらない私はいつも苦悩する。
子どもは好きなので(普通の意味でも)、子ども関係の施設でバイトをしたいと目論んでいるが、なぜかいつも採用されない。やはり施設の中でショタを見て癒されているのがダメなのだろうか。
「てことで来週の遠足楽しみにしてるからね!」
ゴールデンウイークも終わり頃、最後の休みにぽぽぽランドに行くことになった。
「いや、うち行けなくなったんだわ」
「え?」
「だから今回は無しにしたいけど優成が嫌がってな」
「え?」
これは期待してもいいんでしょうか?
「だから連れて行ってやってくれ。ぽぽぽもん戦隊あががレンジャーが見たいらしいんだ」
「龍くんも連れて行こうかな。ショタに囲まれる週末。私はどうなってしまうのか……」
ぽぽぽランド遠足を最初に行きたいと言ったのは、何を隠そう優成くんだ。優成くんは遊園地が好きだけど、USJはやや遠い。そこで近場で楽しめるぽぽぽランドでいっぱい遊んだら? って優成くんのお母さまが優成くんに言ってくれたのだ。
クラスの友達も誘おうとしたが、子どもだけぽぽぽランドに行くのはちょっと……となり、お姉ちゃんが大好きな優成くん(そこも可愛い)は、ケロちゃんに声を掛けた。
優成くんのお願いで私もそこに入らせてもらえることに! これはもう結婚式まで秒読み。でも今回の予定では後もう一人男の子を誘うから、これはどうにかなっちゃうんですよね?
「あんま気持ち悪いと防犯ブザー押させるぞ」
って脳内ケロちゃんに怒られそうだ。でも、今回、邪魔者はいない。
あと、龍くんも誘いたい。龍くんはツンデレ褐色ショタ。もう至高。
龍くんは隣に住んでいる中学二年の男の子だ。学校の友達と遊びに行くことも多いが、この週末は空いているのは龍くんのお母さんから伺っている。
「あの子、美玖お姉ちゃんから誘われたら喜ぶわ。ありがとう」
そしてこの次の日のことである。
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