第4章
第84話
第四章
眠りから覚めると、天蓋についた寝台に寝かされていた。薄い布が何枚もたらされて幕を作っていた。
まるで、王様のような寝台だ。
身体がじっとりと熱い。
何度か、汗ばむ身体を冷たいタオルで拭われた記憶がある。
うめき声を上げた時、誰かが手を握ってくれた。ジョシュアかと尋ねると「違います」と小さな声で言われた。
そうだ。
黒髪を長く伸ばした浅黒い肌の青年だ。
目は、黄金をはめ込んだように金色に淡く光っていて、女性と見まごうほど華奢で美しかった。彼の額にはミオと同じ奴隷印があった。
折れそうなぐらい細い腰をしていて、よく手入れされた髪の毛は絹糸みたいに艶があった。きっと、歓楽都市ソアレの女性も敵わない。
手首には大きな宝石がついたブレスレットが何個も嵌められていた。
青年は、たしかこう言った。
『ミオ様。私はサミイと申します。傍に降りますので、苦しいときはいつでも御呼び下さい』
「……サミイ様。熱を上げ過ぎて、美しいニンフ(精霊)の幻でも見てしまったのかな?」
ぼそっと呟くと、さっと薄い布がかき分けられた。
「お目覚めですか?」
顔を出したのは、夢の中の住人だと思っていた黄金の瞳を持つ美しい青年だ。
この青年は、ミオと同じ『白』なのだろう。
しかも、最高に美しい『白』。
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