第67話

「ここから北西にあるオアシスで、王宮の兵士たちに連れ去られた。どうやらお前の主人は、してはいけない調査をしていたようだ」


「ジョシュア様は砂漠キツネを見に行っただけです。技師様だから、ついでに水脈の調査をしていただけだと思います」


「水脈の調査、だと?」


 冷ややかに笑ったタンガは、懐からボロボロの地図を取り出しミオに向かって投げてきた。


「これは、ジョシュア様の地図」


 広げると、ミオが付けた黒い×印に赤い×印が重なっている箇所がいくつかあった。


「この印は、お二人が向かわれたオアシスという意味でしょうか?」


「いや」


「では、砂漠キツネを見ることが出来たオアシス?」


「そうでもない。この赤い×印にどういう法則があるのか考えみたのだが、どの×印の場所でも、お前の主人は必ず私に匂い消しの草を探して欲しいと言った。手が匂って具合が悪くなったと言ってな」


「匂い?ジョシュア様は、確か黒い水の匂いが手についたときも具合が悪くなったと……。毎回、匂い消しの草をタンガ様に探してもらっていたということは、黒い水を探していた……?でも黒い水など、臭いだけで何の価値が?」


「ある。おそらくこの世を変える価値が」


 タンガが断言するが、ミオには信じられなかった。

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