第2話 TRPG日記 -ろーぷれ日記-より、『番外5』
◆月■日、番外5 鍋パーティーをしよう?
稲荷森神社、
狐の仕える神社の分社?
自転車で買い物の途中に通りかかったので、近くで止まって通りの向かい側から少し眺める。
本当に小さな丘?というよりは盛り土をした高さ2階建ての家くらいの土の山、時を経た緑や高い木々の間に、小さい参道と鳥居、小ぶりな石狛、狐と社があるくらいだ。
学校とかによくある←今はないのかな?築山と似た大きさ、かな?
築山は小学校とかにある、あるいは昔あったお手軽な遊具の一種だ(笑)
自分が居た当時の小学校の校庭にあった築山は、
子供がくぐり抜けられるように、コンクリートの内径1mくらいの土管が通してあった。
自分は外遊びは好きではなかったが、築山のあたりで学校の友達とはよく遊んだ覚えがある。
隠れん坊、鬼ごっこ、缶蹴りのたぐいか?
自分は足が遅かったから、自分をカモにするやつから目の敵にされていたな(怒)、(苦笑)
閑話休題、
稲荷森神社は過去、古墳時代の円墳の上に建てられたもののようだ。
あの辺りには畑や田んぼの中に、海に顔を出す小島のように同じような小山がいくつもある。
おそらく、中に石室があり遺体や装飾品など安置されているのだろう。
子供の頃、外側が崩れて石室が剥き出しになってしまったものに潜ったことがある。
同年代の親戚の子や友達といっしょだったけれど、
自分たちが行ったのは、石室が出てからもうかなり経った頃だったはずだ。
石室だけで、中には何もなかった。
当時新しく作った公共住宅地の一角にあったもので、
工事用の重機でくずしたのだろうか?
天井の一枚石が一部欠けており、側面の壁石との隙間から入ったことを覚えている。
もう亡くなった父親か、親戚から詳しい話は聞いたと思うが、
もう忘れてしまった(笑)
出土品の中から古代蓮の実が見つかって、植えたら見事に発芽に成功したという話があった気がしたけれど(苦笑)
かずま、鍋が食いたいって言ってたな…。
夏には、かずまと出かけることはなかったし…。
あいつ、猫又にべったりだったしな(笑)
最近、かずまは猫又とあまりうまくいっていないらしい。
種族が違うからか、性格の違いか?
短い時間だが、最近顔を見せることが増えた。
学校では顔を合わせているが、学校で話せない事というと、あやかしか猫又の話だろう。←猫又もあやかしだが(笑)
そろそろ酒が必要か?
いや、学生だから酒じゃないか(笑)
まあ、グチ聞き、気晴らしだな…。
まだそこまで深刻じゃなさそうだし、鍋パーティーでもやろうかね。
寒くなる前に、屋外でやるのも良いかもな〜。
かずまのキャンプセット、バーベキューのコンロ一式を借りて、仕込みは座敷わらしにお願いして(笑)
猫又は…、様子みて誘って、狐はどうするかな?
場所は…。
座敷わらしの借りてる菜園の片隅か?火使うのまずいよな?
河原、は目立つし、どっかのキャンプ場とかは論外(笑)
「こんちわ○○くん♪
なにしてるの?」
気がつくと、傍らに稲荷狐が立っている。
ああそうだ!!狐の社だ。
あっちの世界なら大丈夫か(笑)
鳥居の門から狐の神域、稲荷の治める狐の管理する地ならだいじょうぶ♪
使わせてくれるかな?
稲荷狐に聞いてみたら、快諾してくれた。
「まかせてよ!!
○○くん、大々的にやろうね♪」
狐さん…。パーティーリーダーの仕切り体質が出てませんか?
大丈夫、お姉さん?
大々的にって…。友だちと日帰りキャンプくらいのつもりよ(汗)
聞いてる?狐さん、その腕まくりなに!?
すげー不安なんですけど!!
どうしてこうなった?(汗)
なんか村おこし祭りの芋煮会みたいになったよ…。
たくさんの参加者を集めての開会式で、ぼーぜんと立ち尽くす。
開会のあいさつをしている狐が、にっこりしながらこちらに手を振っている。
発起人としてのあいさつを勘弁してもらったのに…。
こっち見るな。注目されるの嫌なんだよ。
学生なんだよ〜、自分(泣)
その後、狐は神職の姿で祝詞を上げ、白拍子姿で神楽舞を奉納した。
猫又はアニソンライブを開いた(苦笑)
↑AYK(あやかし)・とりあえず3だそうだ。
まあ、狐と座敷わらしには逃げられたらしく、ひとりで歌ってたが…(汗)
それに、なんか奥の方で盛大にキャンプファイヤー焚いている周りで踊り狂っているのあやかし?誰?
あの一団知らない(汗)
誰が誘ったの?
なんかすごいカオスなんだけど…。
他に、どんな関係なんだか、ちらほらと人間も混じっているし(汗)
自分関係ないよ…。
これ以上付き合い増やさないよ〜。
静かにTRPGやるんだから!!
「なにしてるの?○○くん…」
また傍らに狐。ちょっと驚く、そんなにぼーっとしてたか?
狐は神楽を舞った時のままの白拍子姿のままだ。いつもと雰囲気の違う様子に、ちょっとどきっとする(汗)
「あの一団、誰?」というか、なに?
「
社の下に棲んでいる人たち。お祭りするから呼んでみたの。
4千年以上前から、お稲荷さまの社が建つ前からこの辺りに住んでいたんだって」
そういえば子供のころ、このバイパス道路を作る工事現場から古代の住居跡が出たことあったな。
あれは弥生時代だと思ったけど、もっと古い人たちも居たんだな…。
「ほら、ちょっと人っぽい、左右の髪を結った人がこのお墓の主、1500年くらい前の人。
で、ディフォルメされて、肌が素焼きの焼き物っぽいのがあの人の衛士」
ああ、確かに埴輪っぽい(笑)
「もっと、人からかけ離れた感じの、刺青したり、うーん…頭が大きいとか着ぐるみ着てるみたいな人、まるで土偶だよね(笑)」
確かに土偶だ(苦笑)
「あれが旧い人。
この辺りでいちばん昔の人たちだよ。
いまは主さんと一緒に、ここに住んでいるんだって」
「それと、一緒にいてにっこり笑っているのが古代蓮の精。たしか
ちょっと前に目覚めたひと。
この近くのお墓で眠っていたけど、人間に見つかって、貯水湖に植えられたんだって」
ああ、あのお話か…
ん?ちょっとまえか?
30年くらい経ってないか?
ちょっと愕然。狐との時間の感覚、違うんだな。
「白蓮さん、ここのお墓の主さんと同じ時代の生まれなんだって」
稲荷狐がそんなことを話し出す。
「主さん、知り合いがお墓に蓮の種を入れたことを生前、大昔に聞いたことがあったって話してた」
狐、ちょっと羨ましそうな表情で、
「あの二人、この間ここで式をあげて
旦那さんの主さんが、10年がかりで口説き落としたんだって」
「昔の話を懐かしく語り合うことができて、
その上、これからいろんな景色を見ながら、一緒に時を重ねていける相手だって言って笑ってた。
だからねー、今日呼んでみたの(笑)」
眩しそうな笑顔で彼らを見つめる狐。
俺はだまって聞いている。
「生まれ方が全然違う二人が、長い時を経て邂逅し再び出会うなんて、ロマンティックだよねー♪
いいよねー。異種族婚(微笑)」
うまくいけばね(苦笑)
勝てば官軍(笑)
かずまは敗色濃厚そうな感じだ、残念ながら。
「うまく行けばね…」
ぽつりと呟く。口に出すつもりはなかったが、つい出てしまった。
「○○くん…、
とりあえず告白してみたら?
あの娘に会いたくて、ここに来たんだよね?いるんだよね?」
狐がすこしだけ距離を詰めてくる。ちょっ、近いって!!
「あの人たちみたいに、うまく一緒にいられるとは限らないけど、
でも…、でもね、気持ちがはっきりしているなら言ってみない?」
硬い笑顔、彼女もすこし緊張しているみたいだ…。
「わたしをTRPGに誘った時みたいに声をかけても良いし、かずまくんに頼んでもいいじゃない。
あの子普通にクラスメートしてるんでしょ?」
「人って誰もが長く生きられるわけじゃないよ。あの娘といられるのって、たぶん、ほんとにあっという間。
学校で会える時間なんて、あとほんの僅か。後悔する前に、目の前のチャンスをしっかり掴まなきゃ」
稲荷狐がすっと身体を離す。彼女が纏っていた香木らしいふわりとした香りが、自分をやさしく包むように、ほのかに香る。
彼女は、はにかみながら言った。
「○○くん、だいじょうぶ。前に進んで。
玉砕したら、わたしが慰めてあげるからさ…」
かっこいいなぁ。
自分のまわりの女の子は、どうしてこんなに男前な娘ばっかりなんだろう(苦笑)
今の人生で、こいつらと出会えたのは僥倖だ。ありがとう、愛しているよ。
死ぬまで、こいつらとバカやって遊んでいけるのなら悪くない(笑)
俺は笑いながら、
「それ、猫又にも言われた(笑)
「あたしがなぐさめるから、サッサと突撃して玉砕してくるんだニャー(笑)」って。
玉砕前提かよ!!ってね(苦笑)」
「…ちぇっ、
猫又ちゃんに先越されたか(ため息)」
狐、小声でぽそっとつぶやいた。
「あ〜あ。あいかわらず、手がはやいな〜猫又ちゃん」
「○○さん、助けて〜!!」
座敷わらしからの救援要請だ(笑)
リバイアさんの持ち込みの魚介類←倉嶋さんちのか?で、大鍋の調理に飛び回っていたが、いよいよ切羽詰まってきたみたいだ(苦笑)
狐に目線で謝り、座敷わらしのフォローに入る。
ひと心地ついた頃、
ふと見ると狐は、猫又のコスプレ・アニソンライブに参加して、一緒に熱演していた。
かずまは猫又に振り回されながら、イベントの設営からフォロー、片付けまで、裏方に奔走していたが、
今は座敷わらしのパートを代わりに踊らされている(笑)
がんばれ、かずま。
振られたら今度こそ鍋パーティー開いてやるから(苦笑)
自分も他人の心配してないで、いいかげん声かけるくらいしないとな。
まあ、玉砕は勘弁だけど(苦笑)
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