想起
あなたは図書館を訪れる、何万冊という蔵書があなたの前に聳えている、あなたはその一冊一冊のタイトルを一瞥し、その中から気になった本を手に取り、装丁を眺める。
ここであなたの読書は終ったも同然である。
その時点で想起された世界こそが全てで、本文はもはや蛇足に過ぎない。事実、1頁読み進めるごとにあなたは失望を感じる。本文が興味深くおもしろい内容であれば、むしろその失望は深まる。あなたはがっかりして本を書架に戻す。そしてまた夢遊病者のように本の森のなかを歩き始める。
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