第二十話 夢の中の練習
「どうだった?初めて向こうの世界で明力操作をした感覚は。」
ぬらはいつものように聞いてくる。
「見えなくなると一気に感覚頼りになるから、ちょっと不安になったね。」
俺はいつものように答える。
「そうか。まあ、かなたには陰陽師になってもらった以上無自覚で明力操作ができている状態までなってもらうがな。」
ぬらは簡単にいうがな、意識してじゃないとうまくいかないんだよね…。
「あ!そうだぬら、今日先生が俺たちを見ただけで明力操作が出来ているってわかったらしいんだ。それって何故かわかる?」
今日の授業の最後、先生は俺たちを見ただけで明力操作をしているとわかっていた。
目には見えないはずの明力をどうやって確認しているのか不思議でならない。
「それは前に教えた明力集中の応用の一つで、明力を目に集めて明力などを視覚的に感知する『視』という技だ。お前も出来るようになってもらうぞ。」
なるほど、だから先生は俺たちが明力操作をできていることがわかったのか。
それにしてもぬらは俺にどれだけスパルタな訓練をするつもりなんだ…。
いや、ちょっと待てよ。今ぬら『明力集中の応用の一つ』って言ったか?
「ちょ、ちょっと待てよぬら、明力集中の応用の一つってことは他にもあるのか?」
俺は恐る恐る聞く。
「ああ、あるぞ。『視』のほかには『力』『速』『護』『聴』の4つだな。」
ですよね、ありますよね…。これでぬらのスパルタ訓練はもっとキツくなりました。
まあ、陰陽師として必要なら頑張るけどさ…。
「まぁ、そんなに深く考えなくていいぞ。明力集中が出来るようにならば自然にできるようになる。」
なるほど、なら俺が今日やることは明力集中をできるように努力することかな。
「ぬら、俺に明力集中を教えてくれ。だが擬音語だらけでおしえるなよ?」
「任せておけ。俺は一度学べば二度と失敗しない。」
そこからぬらの授業が始まった。
「はぁ…はぁ…」
ぬらの授業が始まってから俺は教えられながら明力集中を繰り返していた。
しかし、一向にうまくいかず集中力と体力が尽きかけていた。
「今日はこれぐらいにしようか。お前も体力が尽きかけてるしな。」
ぬらは指でパチン!と鳴らす。
次の瞬間、俺は自分のベットの上にいた。
ぬらのやつ、強制的に俺を夢から追い出せるのかよ。
だが、いつも時間ギリギリまで夢にいた時より体が軽いかな?
いつもより早く終わったから深く寝る時間が増えた?
うーん、推測しても何もならないし次の夢でぬらに聞いてみるか。
とりあえず、学校の準備を始めるか…。
俺や桜は昨日と同じ時間に登校するためゆっくりと家を出た。今日は一日中学校があるため昼ごはんを持っていく。
地下には食堂があるらしいが、俺たちは正式に陰陽師として登録が済んでないため利用できないそうだ。
まあ、俺としては桜と二人で昼食を取れるからいいのだが…。
俺たちは昨日説明された通りに地下に行き、教室に入り昨日と同じ席に着く。
やはり、慣れるまではこの大きさの部屋に机が二つなのは違和感があるな。
数分後、紅蓮先生が入ってくる。
「おはよう、二人とも。今日は午前中が座学、午後から運動をするからな。」
昨日いっていたことは午後に行うのかな?とりあえず、午前中を乗り切ろう。
多分、授業中に寝ることはないだろ。紅蓮先生の授業はとても面白いしわかりやすい。
一回しか授業を受けていないが、正直こんなに良い先生はいないと思う。
「さて、授業を始めるぞ。」
授業が始まり、一気に時間が過ぎていった。
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