第十八話 陰陽連

 俺は桜と共に理事長室を出た後、鬼灯ほおずき紅蓮ぐれんもとい紅蓮先生に地下の教室に連れてこられた。

 先生曰く、上の教室を使うと一般人に陰陽師のことが漏洩ろうえいしてしまうことを防ぐためだそうだ。

 それにしても地下に教室って…。しかも来る方法が学校のエレベーターの監視カメラに向かって電子生徒手帳をかざすことで自動的に地下に行くのだらから驚いた。

 それに教室もとてつもなく広く、天井も高い。向こうの壁が見えない…。

 そこにホワイトボードと二つの机と椅子があった。違和感がすごい。

 「とりあえず席に座ってくれ。今日は昼までだから、陰陽連と俺たちが祓うべき者たちについて話していくつもりだ。」

 そして紅蓮先生の授業が始まった。

 

 先生の授業はわかりやすく頭にスッと入っていった。

 陰陽連の歴史は安倍晴明がいた時代、つまり平安時代からあるらしい。

 陰陽連の初代棟梁とうりょうは安倍晴明らしく、二代目からは十六夜家が請け負っている。

 なぜ二代目から十六夜家が請け負っているのかは不明らしいが。

 そして次は陰陽師が戦う…いや祓うべき者たち—妖怪や鬼について話された。

 俺たちが山の山頂で襲われた時の化け物が妖怪、そして違う世界で襲われたのが鬼らしい。

 妖怪はこの現実世界でいろんなことを起こしているそうだ。

 怪奇現象を起こしたり、都市伝説になっているものもいる。最悪の場合、人を殺害しているものもいる。

 そして、妖怪の中で人に害を及ぼすものを陰陽師はそれを祓う。

 だが、全ての妖怪を祓う訳ではなく例外はいくつか存在する。

 それが、陰陽連と平和条約や停戦条約を締結しているものたちだ。

 妖怪は団や組といった集団で行動しているそうだ。

 そして、そのものたちと和平を結ぶことで無駄な争いを無くしてきたそうだ。

 今ではこの地下の教室に妖怪用の場所もあるとのことだ。

 陰陽師と妖怪が同じ学び舎にいるってなんか違和感があるな…。でもそれだけ平和なのだろう。

 次に鬼についてだ。鬼は完全に別次元の生物だそうだ。

 向こう側の世界—鬼界きかいに住んでおり、こちら側には来れないそうだ。

 しかしこの世界には干渉出来るらしく、俺たちを引きずり込んだようにこの世界にヒビを入れ鬼界に引きずり込み人間を喰らう。

 そうすることで鬼たちは強くなっていく。

 だが妖怪とは違い、集団で行動することは珍しいらしい。

 鬼たちは共喰いを行い、自分を強くしようとする。その結果集団で行動することは少なくなったそうだ。

 まぁ、鬼の中にも知能が備わってるものもいるそうだが奇跡といえるほど少ないらしいが…。

 


 「というわけで今日の授業はここまでだ。どうだ初めての授業は?」

 「疲れましたよ。でも、やっぱり自分の知らなかったことを知れるから楽しかったです。」

 「だよねだよね!それに紅蓮先生の教え方が上手ですぐに頭に入ったしね!」

 桜の言う通り紅蓮先生の教え方がうますぎる。

 俺たちを飽きさせないように途中で小話を入れてくれたり、分かりやすい例えや重要な部分を簡単にまとめていたりと色々な工夫がされていた。

 それにしても、全てが現実離れし過ぎて実感ないな。まぁ、実際俺たちは襲われたわけだが…。

 「かなた今、『現実離れし過ぎて実感がないな』なんて思っているだろ。」

 俺は的確に心情を読まれそれに驚きつつ、顔を縦に振った。

 「まぁ、いきなり現実離れしたことを言われれば実感がないよな。そうだな、お前たち明力操作はできてるか?出来るならその場でやってみてくれ。」

 俺たちは立ち上がり明力操作を行った。

 「なるほど、そのレベルならできそうだな。よし、明日は実技を行うからその心づもりだけはしといてくれ。着る物はこちらで用意しておく。」

 そう言われ俺たちは帰路につくのだった。

 それにしても、どうして俺たちが明力操作ができていることがわかったのだろう?

 目には見えないはずなのに…。ぬらにでも聞いてみるか。

 

 

 


 

 

 

 

 

 

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