第十二話 陰陽師の第一歩㊁
理事長が持って来た水晶は透き通っており、淡藤色に薄く光っていた。
「この水晶は霧雨の水晶といって、陰陽連の長にしか扱えないものでね。これには三つの使い道があってね–––」
そこからかなたたちは霧雨の水晶について説明された。
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使い道1・結界の設定
陰陽連の本部である京都の結界の設定。また、結界の現在の状況や結界の影響を受けない妖怪の設定に使われる。
設定する際は理事長の許可と毎日変化するパスワードを入力する必要がある。
使い道2・封印された妖怪との会話
陰陽連に害をなさないように契約をし、身の自由を与える為の機能。契約の解除は、解除時に霧雨の水晶を扱えるものにしかできない。
使い道3・陰陽師の職業名の確認
陰陽師一人一人には何かしらの職業がある。職業によって使える
稀に職業を2つ持つ者もいる。その者たちは
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「今説明した二つ目の使い道を使えば、ぬらりひょんと会話ができるんだ。だから、ぬらりひょんが封印されているものを貸してくれないかな?」
そう言われ、俺は首からかけていた人型の紙を渡した。理事長はそれを霧雨の水晶にかざした。
かざした瞬間、薄く光っていた水晶が薄紫色に強く光る。
光が収まると同時に理事長が話し始めた。
「こんにちは、ぬらりひょんさん。私は24代目陰陽連当主
『ああ、聞こえてるぞ。俺を知ってるってことは、晴明も約束を守ってくれたみたいだな。』
水晶からはしっかりとぬらりひょんの声がした。しかし、姿が見えていない。
『自己紹介をする前に、そこの子に陰陽師のことについて教えてやってくれ。かなたには俺からもう説明してある。』
ぬらにそういわれ、理事長は桜に説明を始めた。時々ゴース○バスターという単語が聞こえたけれど、俺は聞かなかったことにした。
「それじゃあ、命を落とす可能性があるんだよね?私たちにそんなのになれっていうの?」
陰陽師のことを聞いた途端桜は怒った。陰陽師として育てられた人ならまだしも、一般人からしたら死に行けといわれているのと同じことだ。
「かなたもこんな危ないものになる必要ないよね?かなたもなりたくないよね?」
「…俺はなる。」
「なんで!かなたも私もただの一般人だよ。高校生なんだよ!そんな危ないことは専門の人に任せればいいじゃん!」
その時の桜の目には涙があった。
「俺はぬらりひょんから聞いていたから覚悟はしていたんだ。でも、正直怖い。もし陰陽師になって死んだらどうしようって。」
俺の中に少し恐怖が蘇った。
桜の言う通り、陰陽師になる必要はなく、自分から危険に飛び込んでいるだけなのだ。
「でも、俺には命を賭してでも守りたい奴がいるんだ。」
もし、晴明が見せてくれたことが現代で起こったら?
そんなことを考えた時があった。俺は自分が何もしないせいで誰が苦しむところなんて、見たくない。
それに桜を必ず守る。それが俺の陰陽師になると決めた一番の理由だから。
ふと、桜が俺の顔を見つめる。
「かなたの意思はわかった。でもダメ。命を賭して守るなんて私がさせない。私と二人で守れば、命を賭して守らなくていいんだからね。だから、かなたが陰陽師になるなら私もなる。」
桜の顔は強い意思を感じるものだった。
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