かたわらの記憶集

黒ノ次 白

Prologue

 一体、我は誰なのだろうか。

 一つ、心にあるのは使命。

 酷く残酷かつ冷酷。

 だが、我がその感覚を知ることはない。

 ただ、使命だけに支配された者が役割を遂行できないなら何の意味もないからだ。

 使命が冷酷というのなら、我も冷酷であろう。

 しかし、我はかつて人間であった。

 いや、明確な記憶があるわけではないが、そういう運命を持つ者だ。

 だから、認識はできなくとも、感覚が、潜在意識下の自分が我は冷酷だと訴える。

 我にかすかに残った記憶は、言語程度だろう。

 言語があれば、我の任務は遂行できる。

 実際には、言葉がなくとも遂行できるが、退屈で仕方がない。


 さぁ、余命を伝えてその死を見届けるとしよう。


 少年は、どんな反応をし、どんな余生を過ごすのだろうか。



 もし、名も無き我に名をつけるとしたならば、それは「死神」だ。

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