猫はこたつで丸くな……らない

 動物を飼う上で、温度管理は重要な留意点のひとつだ。猫は一般的に寒さに弱いといわれている。ふわふわの毛に覆われているから平気だろうと思うことなかれ。人間が快適と感じる温度帯と猫のそれは概ね一致するとのこと。あなたが寒いと感じる時は猫も寒いし、あなたが暑いと感じる時は猫も暑いのだ。


 もちろん、人間に個人差があるように猫にも個体差がある。また年齢によっても変わってくる。幼い子どもが冬の寒い日に靴下を穿かずにいるのを見ると、大抵の年寄りは酷く心配する。一方で子どもはまるで気にしていない。猫にも同じことが起こるようで、子猫と年寄り猫では好む温度が違うらしい。うちの場合も最年長のさくら(今年で6歳)は比較的寒がりで、真っ先に布団に潜り込んでくる。


 ところで、「猫はこたつで丸くなる♪」という有名な歌詞があるが、あれは必ずしも正しくない。


 我が家では、猫のためだけに暖房を使っている場所が2ヶ所ある。ひとつは、今や猫専用となったこたつである。以前は人間も使っていたが、なかなか共存は難しくて人間側が諦めた。何故かというと、猫はこたつの中ではだらしなくビロンと伸びるからである。猫は伸びると3倍くらい長くなる。それが3匹。そこに人間の入る余地はない。


 こうして猫専用となったこたつだが、今では単なる入れ物に過ぎない。猫にとっては温度調節が最弱でも暑く感じるのか頻繁に出入りを繰り返すので、現在は60✕60のホットカーペットを敷き、厚手のカバー(低温火傷を防ぐため)を掛けて使っているのだ。


 娘たちはこの場所がとても気に入っているようで、丸くなることもなく、逆に3倍に伸びることもなくゆったりと過ごしている。以前にも書いた通り、猫は気温によって体を丸めたり伸ばしたりする。適度に伸びているのは快適な証拠だ。


 余談だが、このミニカーペット、1時間あたりの電気代が1円足らずととても経済的で、猫だけでなく人間の私もとても気に入っている。


 もうひとつの暖房場所は45✕45のホットカーペットに載せたふわふわのハウスで、こたつの上に置いている。こちらは部屋全体がほんわか暖かい。決して広くはないが、猫は狭くて囲まれた場所にいると安心するそうで居心地はいいらしい。


 この他にも、暖房はないが暖かい猫ベッドや大きめのハウス、ハンモックや私たち夫婦のベッドなど、娘たちがくつろげる場所はいくつも用意してある。彼女らは、その日の気温や気分に合わせて最適な場所を選んでいるようだ。この選べるということが大切なのではないかと私は考えている。


 色々書いたが、結論から言うと「猫はこたつで丸くなる♪」と歌いたかったら、その前に一定の条件を加えるべきである。


「かなり温度設定を低く、若しくは電源が切られている場合に限り、猫はこたつで丸くなる♪」

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