こたつで脚を伸ばしたい
いとうみこと
ニャンモナイト
腰痛の季節がやってきた。
腰痛だけではない。寒くなるにつれ、首も肩もカチカチになって「イテテテ……」と言いながら起き上がる朝が増えるのだ。
もちろんこれは寒さのせいではなく、可愛い侵入者のせいだ。今朝もベッドのど真ん中に「うめ」が丸くなっていて、行き場を失った私は、うめを包むように自分も丸くなって寝ていた。お陰で首の調子が今ひとつだ。
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私の名前は石垣いちご。夫とふたり、地方都市の一軒家で暮らしている。5年前、我が家に1匹の子猫を迎え入れた。今では3匹になって賑やかな毎日を送っている。
猫を飼ったことのある人ならみんな知っていると思うが、猫は実に個性豊かだ。ここで我が家の猫たちを紹介しておこう。
長女「さくら」5歳。運動神経抜群で頭がいい。面倒見が良い反面、性格はかなりキツい三毛猫。
次女「もも」4歳。白黒ハチワレの美猫。不器用かつ相当なビビリで、野良では決して生きていけそうもない。食べ物への執着は凄まじい。
三女「うめ」2歳。甘え上手でマイペースな黒猫。末っ子のくせに態度がデカい。
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猫が丸くなって寝る様子を「ニャンモナイト」と呼ぶ。言うまでもなく「アンモナイト」に引っ掛けて作られた造語だが、このニャンモナイトはかなり正確に気温を反映している。
測ったわけではないので正確な数字は言えないが、秋口になると、それまで伸びて寝ていた猫たちが一様に丸くなる日がやってくる。または、昼間は伸びていたのに夕方になると丸くなるという現象が見られる。
それは即ち、布団への侵入が始まる合図でもある。嬉しい反面、確実に体は蝕まれていく過酷な季節の始まりだ。
それにしても首が痛い。どうやら寝違えたようだ。丸くなって寝ている猫は実に気持ち良さそうだけれど、人間にとっては苦行でしかないのだろう。とりあえず湿布を貼って凌ぐことにしよう。
そういや、湿布を貼ってる猫は見たことないな……
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