第11話

「私に愛を教えてほしい」


「愛とは、かくも儚いものなんだ……」

「…………」

「それはまるで淡雪のように溶けて見えなくなってしまうもの。あるいは桜に喩えようか。花弁が散る桜は美しいが、それは終わりが近づいているということ。花の終わりはいつも寂しい。愛もまた然り」

「………………」

「………………」

「…………は?」

「目冷たっ」

「はぁ……。また何かの本の影響?」

「これ読んでた」

「ふーん。私、こういうのあんまり分かんない」

「俺もよく分かってないぞ」

「……なんで買ってきたの?」

「内容を読まずに判断するには惜しい表紙とタイトルだろ?」

「……こういうの、あなたには似合わない」

「そうか?」

「そう」

「そっか」

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