先住人がいた!

なぞねこ

第1話 出会い

私は宮崎恵理26歳、10月から実家を出て一人暮らしを始めた。私が家を出るきっかけになったのはお母さんの言葉だ。

「お姉ちゃん夫婦が引っ越してくるけど恵理はどうする?」

もともと社会人になったら出ていくつもりだったので私には都合が良かった。

どうするも何も遠回しに出ていけと言われている気がしてならなかった。

地元の賃貸ショップで実家から離れた場所に住むことに決めた。ここならきっと、

「おねぇちゃんどうせ土日ひまでしょ?赤ちゃんの面倒みててよ~」なんて将来言われずに済むかも。。

家賃48000円で2DKという安さと広さの魅力にやられて内覧をして少しの汚さぐらい我慢だ!と契約をして引っ越してきた。

外見はどんなところにもありそうなハイツだ。

2階建てハイツの203号室に住んでいる。

節約のために現状渡しで借りた部屋だからけっこう前住人の生活感が残っている。

キッチンには2口ガスコンロが油まみれで置いてある。

お風呂はかろうじてきれいだ。

私は潔癖症なのでお金のためとはいえ、心のストレス爆弾は確実に膨らんでいる。

トイレとお風呂が別なのがこの家で一番の気に入っている点だ。

トイレの菌がお風呂にも舞っていくと思うとストレスを感じてしまうからだ。

今日は10月15日、引っ越してきて3日間有給を取って軽い掃除だけをして後は家具の配置に時間を使った。キッチンの壁やコンロなどハードな油ゾーンはまた休みの日にやる。

今日は日曜日だが掃除をする気分にはなれなかった。

最近寒暖差が激しく、朝から頭がいたくて寝ていたからだ。朝から何も食べていなかったので夕食だけはお粥でも作ろうとキッチンに向かった。

キッチン用品はいつ彼氏ができてもいいように、ピンク色で揃えてある。ピンク色のお鍋にピンク色のフライパン...。料理も楽しくできるようにサボり症な私の意欲を高めるためのアイテムでもある。

熱々のお粥ができた。うちの家庭では青のりがお粥にかかっているのが定番だったのだが。

青のりがない、その代わりにパセリをかけることにした。洋風なお粥という訳ではないので複雑なお味がした。熱でお風呂に入りたくなかったので体を拭いて寝ることにした。

「グー、グー」

夜中にうるさいなぁ...。なんだ!

ベッドの隣に見知らぬ男が寝ている。

電気をつけようとリモコンのボタンを押すが電気がつかない!

すると寝ている?はずの男が口を開いた。

「あんた誰?ここは俺の家なんだけど」





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