永遠のプレゼント
その男の悩みは、サンタからのプレゼントが届き続けることだった。
世間の家庭では、何歳までプレゼントが届くのが普通なのだろうか。高校生の頃は、まだ両親が枕元にプレゼントを置いてくれているのだと思っていた。
異変に気が付いたのは、大学に進学して一人暮らしを始めた最初のクリスマスだった。目が覚めると、そこにあるのが当然というように包装された箱が置いてある。中を開けると、大学で使う専門書が入っていた。
最初は誰かのイタズラだと思った。昨夜は友人達と遅くまで遊んでいて家にいつ帰ったのかも定かではないのだ。もしかすると、友達が驚かせようと後をつけてきたのかもしれないし、両親がこっそり来ていたのかもしれない。
だがその翌年もプレゼントは届いていた。中身はクリスマスカラーの腕時計だった。
その後もプレゼントは届き続ける。男が成人して、大学を卒業して、社会人になってもそれは終わることはなかった。
だた箱の中のラインナップは少し変わっていった。世界童話集や、クリスマスソングが流れるオルゴール、時にはクリスマスケーキが入っていることもあった。徐々に子供たちが喜びそうな物が届いているような気がした。
そして今年も目が覚めると、枕元にプレゼントが置かれていた。だが例年とは様子が違った。今日はクリスマス当日ではなく、クリスマスイブの朝なのだ。
慣れた手つきでプレゼントを開封する。箱の中には、赤と白で飾られたナイトキャップと上下セットの服、それに黒いブーツが入っていた。
試しに、袖を通してみるとサイズはぴったりで、それ以上に身に馴染んだ。まるで長い間、着てもらえることを待っていたように。
男は全てを理解し、外で待つトナカイ達の元へ向かった。
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