第6章 合流、進化、そしてボスです!

50.沙樹ちゃんと合流です!

 どーも、お昼ご飯を食べてゲーム内で沙樹ちゃんを待つことになった、リーンこと響だよ。

 とりあえず、午前中の間にキャラクター作成は終わらせてあるらしい。

 キャラクターネームも教えてもらって『サーシャ=ナインテイル』って言うんだって。

 金髪の狐獣人を選んで、職業はサマナー。

 典型的な魔法系キャラクターを作成したらしいね。

 その分、接近戦は最初の相棒、プチドラゴンのブレンに任せっきりになりそうって言ってたけどね。

 ちなみに、ゲーム外にいる間にフレンドコードを交換して、フレンド登録は完了済みです。


 そして、午後からゲームに入ったんだけど、なかなかサーシャちゃんが姿を見せないのですよ。


「ねえ、あなたのフレンドが来るのってここで間違いないのよね?」

「うん、間違いないよ。今もフレンドリストには『オンライン中』の表示があるし、10分ほど前にはチュートリアルが終わったって連絡も来てるし」

「そうなんだね。……ところで、そのフレンドさんのオープニングイベントは外洋航海船からの入国だったのかな?」

「……え、それってどういう言うこと?」

「……あなた、本当に抜けてるところがあるわよね。このゲームのオープニングイベントは、チュートリアルクリア後に何種類か用意されているのよ。外洋航海船からの入国もその一つね」

「……他にはどんなのがあるのかな?」

「多いパターンは行商人のキャラバンに同乗してくるってパターンかしら? 私とスズカはそのパターンだったしね」

「そうですね。あとは、レアなパターンだと、乗合馬車でこの街に向かっていてモンスターに襲われるってパターンもありますが」

「……そうなんだね。全然知らなかったよ」

「リーンの知識って偏ってるわよねぇ……」

「そこがリーンらしいと思いますけどね」

「……うう、褒められてる気がしない」


 ともかく、サーシャちゃんが遅れている理由はわかったんだよ。

 そうなるとどこで合流するかだけど……


『リーンちゃん、今街に着いたわよ。どこにいるのかしら?』


 都合よく、サーシャちゃんからフレンドチャットがかかってきたよ。


「ボクは街の南端にある港にいるよ」

『何でまたそんなところに?』

「オープニングイベントが複数種類も用意されてるなんて知らなかったんだよ」

『なるほどねぇ。それじゃあ、私が港に向かった方がいいの?」

「ううん、ボク達がそっちに向かうよ。今、どこの門にいるの?」

『えーと、東門みたいね。それじゃあ、待っているからよろしくね』

「了解、しばらく待っててね」


 サーシャちゃんとのフレンドチャットを終了して、他の二人に状況を説明するよ。

 とりあえず東門に移動しながらボク達は会話を続けることに。


「やっぱり、他のオープニングイベントだった訳ね」

「でも、東門に到着したという事は『ゴブリン襲撃』イベントだったんじゃないでしょうか?」

「……うん? 『ゴブリン襲撃』って何?」

「チュートリアルの戦闘訓練で優秀な成績を収めたものが受ける事になるオープニングイベントよ。街に乗合馬車で向かってくるんだけど、途中でゴブリンの襲撃を受けるの。他にも冒険者がいて手伝ってくれるけど、基本的にはプレイヤー一人で戦うイベントね」

「経験値はそこそこ手に入るんですけど、場合によっては初期配布の初心者ポーションを使い切ってしまうので、一概においしいイベントとは言えないんですよね」


 そうなんだ、そんなオープニングイベントもあったんだね。

 てっきり、オープニングイベントは危険がないものとばかり思っていたよ。


 さて、そんなことをおしゃべりしながらやってきました東門。

 そこには、金髪の髪をロングヘアーにした、狐耳のプレイヤーがプチドラゴンを連れて待っていたんだよ。

 アバターの特徴も事前に聞いていた通りだし、プチドラゴンを連れているから、この子が間違いなくサーシャちゃんだよね。


「えーと、お待たせ。サーシャちゃんであってるよね?」

「ええ、サーシャよ。そう言うあなたはリーンちゃんだよね」

「うん、ボクはリーンだよ。よろしくねサーシャちゃん」

「うん、よろしく。……それにしても、10分くらいしか待っていないのに、ナンパ男どもの多い事多い事……」

「そうなの? ボクは一度もされた事がないからなあ」

「それは当然だと思うよ。リーンは瑠璃色の風のマントを着けてるし、下手に手を出せば瑠璃色の風が飛んでくるのは目に見えてるから」

「そうなんだね。知らなかったよ」

「ところでリーンちゃん、そっちの二人は?」

「ああ、えーと、革鎧の猫獣人さんがスズカで、金属鎧の人間さんがセルシアだよ。二人ともボクと同じクラン所属なんだ」

「スズカです、初めまして。サーシャさんでいいですか?」

「サーシャって呼び捨てで大丈夫だよ。こっちもスズカって呼ばせてもらってもいい?」

「うん、大丈夫だよ。よろしくね、サーシャ」

「私はセルシア。タンク志望のプレイヤーよ。私もサーシャって呼んでも構わないか?」

「うん、もちろん。あ、リーンちゃんも、サーシャで構わないからね」

「わかったよ、それじゃあサーシャ。とりあえず、職業ギルドに行こうか」

「わかってるよ。まずはそこで身分証代わりのギルドカードを発行してもらわないと、街の外にでられないんだよね」

「……どうしてボクの知らなかったことを知ってるかな?」

「この一週間くらい、このゲームのことを色々と調べたからね。それじゃあ、サマナーギルドに行こう?」

「場所も知ってるの?」

「うん、予習済みだよ。……そう言えば、リーンはプレイヤーギルドにも所属してるんだよね。そこってどんな場所なの?」

「うーん、先輩方が色々してくれて居心地のいい場所だよ。初心者のうちは色々と支援してくれるし」

「そうなんだね。ちなみに、私もそのギルドに入っても大丈夫かな?」

「多分、大丈夫だと思うよ。先輩方には話してあって、体験入団の許可はもらってるよ」

「そうなんだ。それじゃあ、このギルドでの登録が終わったら、そのギルドに行ってみるね」

「うん、わかったよ」

「それじゃあ、私はサマナーギルドの登録手続きをしてくるから、行ってくるね」

「頑張ってね、サーシャちゃん」


 サーシャちゃんを見送ったら、フレンドチャットでガイルさん達に連絡です。

 入団には問題ないって言うから、こちらの登録が終わったら、早速、瑠璃色の風に連れて行かなくちゃ!


 サーシャはサマナーギルドに入ってから20分弱で戻ってきたよ。

 ギルドカードにはきちんと、F-2の文字が。

 何で最初から『F-2』なのかというと、加入早々『幻想種ファンタズマのパートナーを見せる』をクリアしたら上がったんだって。

 あと、初心者支援セットもしっかりと開封済みで、スキルポイントの書もしっかり使用済みだってさ。

 ……使い忘れたボクって一体。


 この後は女神像広場を経由して瑠璃色の風に向かいます。

 屋台広場では、相変わらず初心者装備のサーシャが色々な食べ物を渡されてたね。

 女神像広場で、しっかりと女神像をポータル登録したら、いよいよ瑠璃色の風ですよ。


 さて、サーシャはどんな反応を見せてくれますかね?

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