36.ユエさんと初対面です!

 ゲームの中で寝落ちしてしまい、そのまま朝までグッスリだった響です、おはようございます。

 いや、本当に朝までグッスリと寝てしまったんだよ。

 暖かくなってきた季節だから、風邪を引かずに済んだけど気をつけないといけないね。


 今日は午前中は勉強をして、午後からのログインだよ。

 きちんと勉強も頑張ってるところを見てもらわないと、ゲームを取り上げられるかもだからね。

 その辺、立華はとってもやりくりが上手で羨ましいんだよ。


 お昼ご飯を食べたら、早速ログイン。

 見慣れた瑠璃色の風の休憩室にログインしたら、新着メールが届いてるようだよ。

 差出人はハイネさんとユーリさんだね。


 まずはハイネさんのメールから確認しましょう。

 なになに、ふむ、今日の夜には庭の改装用の道具が全部揃うらしいね。

 ログインする予定の時間を聞いてきていたので返信しよう。


 次はユーリさんのメール。

 ユーリさんも夜に会いたいらしいよ。

 その時にユーリさんのフレンドも一緒に会いたいって。

 ユーリさんのフレンドなら悪い人ではないだろうし、OKの返事を返しておくよ。


 とりあえず、メールについては片付いたね。

 ではまずは、パートナー達にご飯をあげてきましょう。

 飛行庭の鍵を取り出して、飛行庭に移動。

 そうしたらいつも通りシズクちゃんが飛び込んできたのでキャッチ。

 うん、今日も可愛いね。


 シズクちゃんを一通り撫でてあげたら、皆を呼んでご飯だよ。

 皆の好みは大体理解してるから、それに見合った食事を与えないとね。


 食事が終わったら今日のブラッシングタイムです。

 相変わらずプリムは素直にブラッシングさせてくれないけど、そこはきちんとブラッシングしてあげるよ。

 ブラッシングが終わった後はスッキリした顔をしてるから、まんざらでもないと思うのだけどね。


 ブラッシングが終わった後はモフモフを堪能。

 ここまで全部で1時間ほど。

 いやー、至福の時だよね!


 とはいえ、モフモフを堪能してるばかりではいつまで経っても次のモフモフをゲットできない。

 なので、今はレベル上げとかを頑張らなくちゃいけないんだよね。

 でも、今日は戦いたい気分じゃないので、街でクエストを受ける事にするよ。

 街中で受けられるクエストで、ステータスが上がるものをクリアすればレベル上げと一緒だよね。


 そう言う訳で街中に行ってクエストを受けようと休憩室に戻ったらシリルさんがいたよ。


「こんにちは、シリルさん」

「ああ、リーン。あの扉はリーンの家だったの?」

「うん、ボクの家だよ。ここで出したらまずかったかな?」

「ううん、そんな事はない。ただ、見慣れない扉だったから誰かなと思っただけ」

「シリルさんって扉を見れば誰の家かわかるの?」

「扉のデザインはプレイヤーごとに異なるから大体わかる。そもそも、休憩室で扉を出すメンバーは少ない」

「うーん、やっぱり外で出した方がいいかな?」

「そこは壁際に出すなら気にしなくていい。それにその気になれば、扉を鑑定することで誰の家かわかるし」

「そうなんだね。初めて知ったよ」

「リーンは初心者なんだから知らない方が普通。……ところで、ジェネラルアントと戦ったって聞いたけど本当?」

「本当だよ。かなり苦労しちゃったけど、何とか勝てたよ。シリルさんの防具とガイルさんの盾のおかげだね」

「ガイルの盾? それ、見せてもらえる?」

「いいよ。……はい、これだね」

「……ガイル、初心者に持たせるような性能の盾じゃない」

「あ、やっぱりそうなんだ」

「防御力はともかく、この軽さで毒の完全無効は強すぎる。マーケットで売りに出せば10万G以上にはなる」

「……やっぱりすごい盾なんだね」

「……まあ、それを渡したのはガイルだし、私には関係ない。それよりも、リーンの防具の耐久値が気になる。ジェネラルアントの蟻酸は毒も厄介だけど、防具の耐久値もかなり削るから」

「えーっと……うん、耐久値が半分以下になってるよ……」

「それじゃあ、修理する。……はい、おしまい」

「このゲームの修理ってすごく簡単だよね。ピカって光って終わりだよね」

「一応、魔法扱いらしい。破壊状態になってなければそれですぐ直る」

「破壊状態だとダメなの?」

「破壊状態だと素材が必要になるから、職人が直接直すしかない。だから、リーンも装備を壊す前に修理するように」

「うん、わかったよ。修理ってシリルさんにお願いすればいいの?」

「私でもいいし住人の裁縫士に頼んでもいい。住人に頼んだら修理する耐久値に見合ったお金がかかるけど」

「そうなんだ。あまり防具を傷つけないように気をつけるね」

「防具は傷つくものだからあまり気にしなくていい。それよりこれから出かけるんじゃ?」

「ああ、そうだった。街でクエストを受けてくるんだったよ」

「そうなんだ。経験値や金銭効率を考えたらモンスター退治のクエストの方がおいしいと思うけど」

「あまり戦いたい気分じゃないのです。それに、街中のクエストでステータスが上がるクエストもまだ残ってるし、それをクリアしてくるよ」

「……最近の初心者には珍しく堅実。頑張ってきてね」

「うん、頑張ってきます。シリルさん、またね」

「それじゃあ、また」


 シリルさんに見送られながらギルドを出て、やってきましたテイマーギルド。

 受ける依頼は『街の配達人』だよ。

 2回目はもらえるアイテムこそ少ないけれど、VITとAGIが2ポイントずつ上がるらしいから、必要時間に対してステータス効率はとってもいい。

 何より、ボクの少ないHPを少しでもあげられるのがいいね。

 という訳で配達をサクッと完了させたら、次に受けるのは『畑の石拾い』だね。

 こっちの依頼は3回までSTRが2ポイント、VITが1ポイント上昇なんだって。

 指定された畑に行って住人さんから説明を受けたら、石を入れる籠を背負って石拾いスタート。

 小さな小石から握りこぶしぐらいの石まで、大小様々な石を拾い集めて籠に入れるよ。

 1時間ほど作業をしたらクエスト終了。

 拾った石が詰まった籠を住人さんに返して、ギルドに報告したら終了。

 しっかりとSTRとVITが上昇したことを確認。

 時間はかかるけど簡単にステータスを上げる手段があるのに、何で他の人は余りやらないんだろうね?

 っていう話を屋台をやっている先輩プレイヤーさんに聞いたら、何でも『レベルを20くらいまで上げたらクエストで上がるステータスなんて誤差』なんだって。

 だから、普通の新規プレイヤーはクエストを受けずにモンスター退治でレベルを上げて、サクサク次の街へ進んでいくらしいよ。

 それで、ある程度レベルが上がってそれでもステータスが足りないと思ったら、前の街まで戻ってきてステータスが上がるクエストを受けていくらしいね。

 どっちが効率がいいのかはわからないけど、ボクはそんなガツガツ進んでいくタイプじゃないから、今のままゆったりと進めるよ。

 あ、屋台ではちゃんと商品を買って食べました。

 とっても美味しかったですよ。


 その後、料理ギルドと調合ギルドにも行ってお手伝いをして、ステータスを上昇させました。

 それぞれDEXが1ずつ上昇だったね。

 料理ギルドと調合ギルドのお手伝いでは、これ以上ステータスが上がらないらしいから、こっちはもう卒業かな?

 それとも、ギルドランクを上げるためにお手伝いを続けるかちょっと悩むね。

 ともかく、時間もちょうどいいし午後のログインはここまでかな。

 後は夜にログインするよ。




 晩ご飯を食べて寝る支度を調えたら夜のログインだね。

 今日はハイネさんとユーリさんの2人と約束があるから、時間に遅れないようにログインしたよ。


 さて、早速いつもの休憩室にログインした訳だけど……


「おお、リーン。もうログインしたか」

「あ、ハイネさん。こんばんは」

「うむ、こんばんはじゃ。わしの方はもう準備ができておるが、庭の改装を始めてもいいかのう?」

「うん、大丈夫かな。でも、後でユーリさんとも約束があるけど、時間は大丈夫かな?」

「ふむ、どこかに出かけるのか?」

「そんな事は無いと思うよ。ただ、ユーリさんのフレンドを連れてくるって言ってたけど」

「ふむ……問題がないならば、お主の家で会えばよい。わしはその間に庭を改装しておく」

「それで構わないの?」

「構わんよ。それでは早速じゃが、家を出しておくれ」

「うん、わかったよ」


 飛行庭の鍵を使って家の扉を出してハイネさんと庭に出る。

 飛び込んできたシズクちゃんを受け止めていると、ハイネさんは庭の奥の方へと歩いて行くよ。

 ハイネさんも結構せっかちさんだよね。


「ふむ、それでは始めさせてもらうが構わんか?」

「うん、よろしくお願いします」

「了解じゃ。家の裏手から横にかけて改装するから、従魔達を近づけんようにしてくれ」

「わかったよ。ハイネさん一人で大丈夫? お手伝いした方がいいかな?」

「わし一人で十分じゃ。気持ちだけ受け取っておこう」


 ハイネさんは手を振りながら家の裏手へと歩いて行ったね。

 ……まあ、素人が手伝っても邪魔になるだけかな?


 パートナー達を家の正面の方に集めてモフモフしていると、ユーリさんとの約束の時間が近付いてきた。

 そろそろユーリさんを迎えに行こうかな、と思っていたらユーリさんからフレンドチャットが届いたよ。


『こんばんは、リーンちゃん。今、大丈夫?』

「こんばんは、ユーリさん。大丈夫だよ」

『今、私のフレンドを連れてリーンちゃんの家の扉の前まで来てるんだけど入っても大丈夫かしら』

「大丈夫だよ。……何か特別な許可って必要なのかな?」

『基本的にリーンちゃんが拒否しなければ大丈夫よ。一緒に入る場合じゃなければ、扉の中に入るために家主側に確認メッセージが出るから、そこで許可してもらえれば入れるわ』

「そうなんだ。それじゃあ、大丈夫だよ」

『わかったわ。それで、一緒にはいる私のフレンドだけど『ユエ=スプリングハート』ってプレイヤーだから、その人も許可してね』

「わかったよ。ちゃんと許可するね」

『ええ、お願い。それじゃあ、扉を開けるわね』


 ユーリさんの言葉の後、目の前に家への入場確認ウィンドウが2つ開いたよ。

 片方はユーリさんで、もう片方がユーリさんのフレンドのユエさんだね。

 問題ないので2人とも許可してっと。

 そうしたら、ユーリさんともう一人、女の人が入ってきたよ。

 その人も立派な服装をしてるから、きっと先輩プレイヤーさんだよね。


「こんばんは、リーンちゃん。とりあえず、私のフレンドを紹介するわね。ユエ=スプリングハートよ」

「初めまして、リーンさん。ユエ=スプリングハートよ。よろしくね」

「リーン=プレイバードだよ。よろしくね、ユエさん」


 ……ん? ユエさんって名前、どこかで見かけたような……


「ユエはリーンちゃんに教えたパートナー系の情報サイトの管理人よ。おそらく、テイマーやサマナーで一番詳しいプレイヤーかもね」

「そんな事ないと思うよ。ユーリだって詳しいじゃない」


 ……ああ、あのサイトの管理者さん!

 地味にすごい人だったんだよ!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る