田舎のおっさん異世界へ 〜やがて神となる〜

白銀 六花

第1話 おっさんの鈍りは絶対直らない

 朝がぁ。

 やるごどねし毎晩はえぐ寝るがら寝覚めなばいっつもい。

 顔洗って歯も磨いでまま食ったら仕事さ行がねね。


「さっ、今日もはだげどごたがやてくるがな」


 オラは太田一男おおたかずお

 地球さいだどぎ大工でゃぐやってだんだけどよぉ。

 わがるが?

 大工だいぐ大工だいぐ、だぁ、いぃ、ぐ!

 んだ、まず大工でゃぐよ。

 それがなてだがらねのも、去年の冬前にこのアースガルドっちゅー世界さ飛ばされぢまったんだぁ。

 皆ぃんなオラどごらね人達ひとだぢばりなんだのも、大したいぐとても良くしてけでよぉ。

 おかげでこぉて毎日農作業させでもらってんだ。


 夜ぃなればこの村でこしゃだ作った野菜の漬物つけおのまま食って、酒っこさげっこご馳走ごっつぉなってがらベッドさひゃって入って寝る。

 テルビテレビないねのも無いけど中々悪ぐねながながわるくない生活送らせでもらってるど思う。


 まぁ、酒っこも日本酒どがビール飲みでのもたいけどねばすかだね無ければ仕方がないがらな。

 べっこあめぇんた酒っこだのも案外と旨捗いぐはかどる

 漬物もすおばりだけ漬けだ浅漬げすかしかねのもないけど、地球さねぇにない野菜だこれもまだ中々旨ながながうめぇおんだ。


 まんず今日もオラなの畑、すっかりしっかり耕さねばな。




 オラは畑さチャイ菜どナース、トメイドどご植えでるのも、植えでる野菜さ特ぃ拘りはねこだわりはない

 最初こさ来たここに来た時に「何植える」って聞がれだがら、響ぎのいがった良かったこの三つ選んだだげだぉんだけだもん

 食えばうめがらなぃも問題ねすな。


 すてそしてこの世界での農作業っちゅのがというのが、まだ古臭せんた古臭いやり方してんだこれが。

 空いでる土地どご耕すたがやして畑にせっにしろて言うがら、まんずいらねまず要らないクワもらった。

 すたっけそしたらこのクワ見でオラもビックリした。

 クワの先さ付いでるなてづでねくていす

 先の尖った石付いでらなひゃ付いてたんだ

 わがるが?

 いすだど石!

 もぉオラビッッックリすたおんだしたものだ

 大昔の道具使って農作業すてらなだおん。

 何も発展のしてね田舎みんたぉんだな。


 せば待でよ……

 オラこごでは都会がら来たみんたもんだひゃみたいなものだ

 この村の人達ぁ標準語使うのも、皆んな田舎者って事だな。

 オラ都会育ぢで、この村の人達は田舎者。

 生まれで初めで自分が都会っ子なんだなって思ったよ。




 ああ、んだんだそうそう

 この農作業する前に村の人達がら魔力っちゅーもんもらったなひゃんだ

 ん?

 目覚めさせるっちゅったっけて言ったっけがな?

 してこの魔力っちゅーなというの凄くすげくてよぉ。

 なぃが体がら力が漲ってくるっちゅが、やだらどとても力入るなひゃ。

 まんずすんげなとにかくすごい


 おかげでこの農作業も石のクワっ、笑っちまうのも石のクワでも楽々耕せるっちゅーわげしゃ訳だ


 村の人達もオラの作業見でビックリしてらっけのもなたんだけどな

 早えす疲れで見てねがら、とんでもねぐなく魔力あるんじゃねがってないかって驚いでらっけ。

 確かに全然疲れねがら、その魔力っちゅーながいっぺたくさんあるのがもしんね。


 まぁそれもこさ来てがらここに来てからびゃっこ少しすてわがる事になったんだけど。




 あんまり雪の降んねぇ地方だがら冬でも野菜植えられるんだけどな。

 冬は魔獣ってのも大人すぐ巣さ篭ってるみんたのもこもってるようだけど、春先になれば餌探すて村さ来るなも村に来るのももいるらすんだ。

 本当なばなら魔獣来た時にゃ避難して冒険者さ依頼するらしんだのも、その間に畑は荒らされ放題になるらす。


 んだのもなだけどな、さすがにオラもわぁ自分が育でだ野菜食われだらおもしぇぐね。

 それど肉もあんま食う事ねがら、久し振りに食いでって気持ぢもあったがもすれねな。


 オラもこの世界さ来てがら使えるよになった魔法もなんぼがあったし、やだらどとても力も強えがらクワ持って戦えば勝てるんじゃねがって思ったなひゃ。




 畑さいだ魔獣は熊みでぇなもんだった。

 地球さもいだ熊と変わんねぇそんたに大っきぐねぇオラより小っちぇんたもんだ。

 普通の熊ぐれなら魔法の使えるオラなば勝でるど確信すたわげよ。


 野菜食ってら熊さ、びゃっこ少し離れだどごがら火の魔法撃ってやった。

 すたっけそしたら毛皮さ火ぃついで、熊も熱っちすて転がり回ってらどごさオラはクワ持って近づいだ。

 ありったげの力込めで振り下ろすたば熊もたまったおんでねぇべなものではないだろう

 頭さクワ刺さってんでらっけ。


 オラは熊さ勝ったなよ。

 村の人達もオラどご褒めでけだっけす、まだ酒っこも持って来てけだっけがら宴会すたおん。

 熊鍋にすたのも旨っけなぁ……

 癖の強え熊肉だのも、久す振りの肉はやっぱ最高だな。

 熊鍋ど酒っこど漬物。

 最高よ。


 あどぁオラは地球がら来てる、話もおもれどって皆んなオラの話さ夢中ななよ。

 なんだがオラもこの村さ受げ入れられでるんだなぁって嬉ぐなったっけでゃ。


 これなばまだ魔獣が来たっていな良いな





 今日も畑耕すて種植える。

 水はびゃっこ離れだどごがら集めで畑さ撒ぐ。

 簡単しゃ。


「カズオさん! 今日も仕事が早いですね! そんな元気が俺達もあればいいんですが!」


 って笑ってるなは、オラの隣さ住んでる三十歳ごれくらいのエルト君。

 一緒ぃいるなは奥さんのミシャさん。

 会釈すて美人でいい奥さんだなぁ。


 オラも地球では一回は結婚すた事もあった。

 んだのもオラがおがあまりにも飲むぃんて飲むから逃げらぃですまったなひゃ。

 逃げらぃだ時にぁ探す回った。

 実家さ帰ってらがど思ったのも連絡つがねって見っからねっけなぁ。

 離婚届はそれより前に書がされでだがら、出で行ぐ時に出されでだみでんた。


 何年がすて東京さ行ってらって聞いで、会いに行って見だんて。

 すたんばそしたら、東京で男ど一緒ぃ暮らすてらっけおな……

 顔見せる訳にもいがねして、何も言わねで帰って来たぁんだ。

 それがら何年も一人。

 やっぱ歳とればだんだん寂すぐなってくるっけな。

 この異世界さ来ても一人。

 元気ぃ暮らせるなはいのも、やっぱり寂しもんだなぁ。




 朝間っから昼間まで仕事すたら昼飯食って昼寝だ。

 米どがいろんた野菜だの農作物は皆んなで交換して食うがら、オラも毎日飯食ってら。

 握り飯ど漬物、コップあれば水はその辺がら集めで飲める。


 あぁ、仕事すてがらしてからの飯は旨ぇなぁ。

 食ったら陽さ当だりながらの昼寝。

 最高だなゃ……


 グゴォォォォォーー……




 昼寝もびゃっこせば目ぇ覚める。

 午後からぁオラなの仕事ぁ何もねんだのも、魚食いで時は川さ行げば獲って来れる。

 んだのもやっぱ肉食いでなゃ。


 あぁ、んだ。

 鳥獲れば食ぅいなや食えるな

 へばじゃあ何で獲ろがな……


 あぁ、畑掘る時ぃ出できた石いっぺたくさんあるな。

 これぶん投げだら落ぢでくるべがな?

 オラなの命中力さ掛がってるのも……


 よす。

 やってみよ。




 他の家の畑ある方さは投げらぃねがら、西の方だな。

 あっちさいる鳥どご狙うべ。


 こっから見える鳥は……

 びゃっこ遠いのもあれ狙うが。

 なんぼごれどれくらいあるべ……

 200メーターもあるべがな?


 オラは掌さ収まるぐれの石拾ってぶ投げる。

 魔力の強化だがによって野球選手もビックリするぃんたするような強肩よ。

 十五個目でやっとが当だって落ぢでいった。


 他の獣食われれば駄目なぃんてだから、落ぢだ辺りまで走って行った。

 走るなまで速えがら200メーターばりすんぐよくらいすぐよ




 落ぢでだ鳥じょな大っきすて鳥は大きくてテルビテレビで見るダチョウごれくらいあるんでねがな?

 これなば村の皆んなして分げだって腹いっぺ食えそうだ。

 とりあえず台車もねがら引ぎ摺って家さ帰る。




 村さ着いだば村の人達ぁ皆んな集まってらっけ。

 皆んなすてオラ石投げるどご見でだらすな。


「今日はこんった大っきい鳥獲れだがらしゃあさあ。皆んなすて分げで食べくべ


 オラ言ったゆったば皆んな喜んだっけ。

 んだべな。

 肉なば皆んなご馳走だべがら誰だって喜ぶ。


「カズオさんはこの村の勇者様です!」


「あっはっはっ。エルト君なば煽でるなおだてるの上手いなや。よーす。オメどさお前には良いどごやるがらな! 待ってれよぉ!」


 オラも煽でられれば嬉すがらな。

 血抜ぎすて羽根毟って、分解作業は村の男達皆んなすてやった。

 協力す合えば大っき鳥だってすぐぃバラバラの食材さなる。


 皆んなで分げ合って、代わりにオラはまだ野菜ど米、あど塩ど砂糖もらった。

 あど酒っこも貰って言う事何もねぇな。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 あーあ、平和だぁ。

 オラ家の畑もいぃい野菜育ってきたすな。

 オラどさ使っていっちゅう土地も皆がら畑ぃすたすぃ、収穫するまで何もやる事もね。


 んでやる事もねすて暇すてだばお客さんがオラ家さ来た。


「カズオさん。もし暇なら俺達にも畑の耕し方を教えてくれないか? カズオさんの畑仕事見てたらウチらとやり方が違うし野菜の実りもいい。迷惑かもしれないけど勉強させてほしいんだ。お願いできませんか!?」


「あやモルダ君、頭上げでけれ。オラもこの村さ来ていろいろど世話ぃなってる、オラなのやり方でいば良ければなんぼでもおへるどいくらでも教えるよ


 村長さんのどごの息子さんがオラどさ頼むって頭下げできたおんだおの。

 やんだって断らいねべったなぁ。

 土地も借りでるす、家建でる時も手伝ってもらった。

 この恩、びゃっこでも返せるど思えばなんぼでもおへるのもな。




 村長さん家の畑さ来た。

 オラ家の畑よりもびゃっこ大っきぐれだのも、家族六人で同ず家さいだ。

 んんで村長さん夫婦は年寄りだす見でるだげ。

 モルダ君ど奥さん、息子さんど娘さんの四人すて農作業すてるみんたな。


「ではカズオさんお願いします!」


「「「お願いします!!」」」


「へば良いが? まんず体さこう…… 力へるべ入れるだろう?」


 魔力っちゅーのを強ぐして体どご強えぐすんな。

 こう、グッと力へでグググッとこう!


「あの…… さ。言ってる事わかんなくない?」


「へばいいがって何なの?」


 わらしたぢぁ早速何がわがらねみんたな。

 恩返す為だす、すっかりおへでやらねば。


「へば良いがって言うゆうのはじゃあいいが? って事しゃ。わがるべ?」


「わかんない」


「そんな言語あるの?」


 こんの田舎者達ぁオラなの言葉もよぐわがらねみでんたなみたいだな

 まぁこの村ぁ田舎だす、すかだねのもよ仕方ないけれども


「へんばオラなの言葉がらおへねね教えなければな。まんずよぉ……」


「いえいえ、カズオさん! 農作業を教えて頂ければ言葉はこちらで勉強しますので!」


「んん…… んだが? へばいぃ。すたらまんず体さグッと力へで入れてみれ!」


「よし皆んな、魔力強化だ!」


 モルダ君さ続いで奥さんどわらし達も体さ力ひゃったみんた入ったみたいだ


「よす。まぁあんまり強えぐねんたのも大丈夫だべ」


「しかしカズオさん。我々も普段から強化をして仕事をしてますよ?」


「うん。んだのも強化すてるだげだべ? そごでだ。クワどご振るなさ使う筋肉だげ、強化せば力も強えぐなるす疲れねわげよ。モルダ君びゃっこクワ持ってそごさ立ってけれ」


 モルダ君がクワ振るなどご見せながら、わらし達ど奥さんどさ使う筋肉どご説明すてやった。

 中々上手ぐいがねのも、練習すてればそのうぢ全身でやれるよになるべおん。


 びゃっこ練習すてがら畑掘ってもらったば、やっぱり楽ぃなったどって喜んでらっけ。

 皆んな戦わねがらってこんた練習はさねみでんたな。


 この日は畑耕すだげでやめだがった。




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 次の日にぁ肥料のこしゃ方作り方だ。

 説明してやったんだのも、この村でぁ肥料どご誰も畑さやらねんだど。

 魔力がなんだどが言ってだのもオラは肥料こしゃで撒いでるしな。

 肥料もこしゃでがらすぐに使えるもんでねがら、オラ作ってだな使うんだのもな。

 作っておいでまだあどで使えばいいす、まんず作ってみるべ。


 材料は米ぬがどが油カスみでな有機肥料さ、土ど籾殻もみがらあれば簡単に作れる。


 材料混ぜ合わせで水掛けでまだ混ぜる。

 密閉でぎる袋さ入れだらあどは発酵するまで日陰さ置いでおげばでぎる。

 難す事はなんもね、簡単しゃ。




 こしゃだ肥料は村長さん家の裏さ置いどいで、オラ家の肥料使って畑さ撒ぐ。

 昨日耕した土さ撒いでまだクワでびゃっこ混ざるように掘り返す。

 土が簡単にボロボロど崩れるぐれが丁度いい土だべおん。

 あどこれで栄養のあるいい畑ぃなったがら何植えだってい。


「モルダ君。あどは好ぎな野菜植えでけれ。育ぢ方見ながらまだ何があれば言うがらよ」


「ありがとうございます! このやり方なら村の皆んなでできそうです! カズオさんの畑くらい野菜が穫れたら飢饉もなく暮らせそうですし!」


 なるほどなぁ。

 村の飢饉っちゅーなも考えで、今よりいい農作業を覚えよって考えだなな……

 さすがは村長さんの息子だげあって皆んなの事考えでる。

 立派だ!

 あどはいい野菜作って、いい村にしてってけるようオラも協力していぐがな!

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