第236話 閑話 年末オフ
これは、ある年末の出来事である。
博多の天神にある大衆酒場の大部屋を貸し切り、男ばかりの宴が開催されていた。
「じゃーみんな、飲み物いったわね~?」
ひょろっとした細めの男がグラスを片手にオネエっぽい言葉で確認を取る。
「宮ネェ、言葉遣い戻ってるから!」そう笑いながら突っ込んだ男は短髪で、がっしりした体形だ。
「じゃぁ、皆今年もありがとー。来年もよろしくね~!」
そう言って乾杯の音頭を取り、飲み会が始まった。テーブルの上には注文しておいた水炊きや炭火の焼き鳥、からあげなどがあり皆一様にグラスを置くとそれぞれが箸を取りつまみ出す。
「今年もrenは不参加だったね~」
「うわー。これ旨い」
「あいつが来るわけねーだろ」
「水炊きおいしいですね! ポン酢によく合います」
「また、年末年始のイベントでがっつり稼いでるんだろーな」
「マスターは性別どっちなんですか?」
「しかし、今年はあんまPKぱっとしなかったでござるよ」
「だからーなー。renは女だって!」
「ちょ、キヨシ、ポン酢飛ばすなでしゅ!」
「はぁ~。この魔界って焼酎美味しいわね~」
「ていうか、ロゼが既にグダ撒いてるんだけど誰か止めて?」
「ぬおおおおおお、この焼きそばうめぇ!」
「ほっとくでしゅ」
「皿うどんな。焼きそばじゃないぜー!」
参加人数は三十名ちょっと、病ゲーと呼ばれるゲームのプレイヤーや元プレイヤーたちのオフ会だ。参加者は、それぞれのクランに属し各々が日々ゲームを楽しんでいる。
「つーかよー。マジで、お前らさークラン作る位ならなんでうちにこねーんだよ!」
「あ、これおいしいでしゅね。高菜と明太マヨのピザ」
「あー。グランドロールは本当に雑魚だったな」
「雪、落ち着くわいね」
「あら、これも美味しいわね~ん。ところで雷、明日朝帰るでしょ?」
「千桜~~~~。だってー、白が、白が俺にむちゃぶりするぅ~~」
「グランドロールってさ、何人か赤BAN食らったって掲示板にあったけど何したの?」
「あぁ、酒飲んだらPKしたくなってきたわー」
「後で、どっか狩り行くか?」
「えー。酒飲んだ後に狩りはちょっとや~だ~」
「ちょっと、キヅナ! 引退したあんたがなんでお酒飲んでPKしたいなんて言ってるの?」
「鉄男~~~、これ食べてみ」
「あぁ、グランドロールなぁ~。神の目使ったんだよ」
「「「「マジで!?」」」」
「くそ、まっず! チカてめぇ、食べ物無駄にしちゃダメって言われたろ!」
「そうである。良いポーションが出来たである。我の英知の結晶である!」
「丸、最近PKどうなの?」
「博士、叫ぶな!」
「相手が最近ログインしなくなってきた。もうソロソロ終わりかもしれない」
「神の目はやべーだろ。そんなん運営動くに決まってるわ」
「まーでも、運営が来てもうちの魔王はカリエンテ使ったけどな。はははは」
「「「「は?」」」」
「運営の人びびりまくりだったぜー!」
閉鎖された空間の中で、彼らは好きに話好きに飲み、食い。オフ会は深夜遅くまで続いたという。
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