第66話 最強は覇者を志す③
視界がクリアになると同時に見えた景色は、遺跡跡のような森だった。視界中央に、55と数字が表示されカウントされている。
対戦相手の職と名前が視界の中央上部に表示され、相手がポセルティウスと言う名の弓だという事がわかった。
弓職か……厄介な相手だなと思案しつつ、まずは身を隠せる場所を探し周囲を見回す。
左へ10メートルほどの距離に、隠れやすそうな遺跡の石柱を発見し、そこへと移動した。
まずは、自身にバフをかける。初戦であること、相手が遠距離職であることを考慮して
エレメンタル エンチャント(+25)
マジック オブ ワイルド(+25)
マジック オブ ボディ(+25)
マジック オブ スピリット(+25)
マジック オブ マインド(+25)
マジック オブ シールド(+25)
ドラゴンマスター エンチャント:DEX
ドラゴンマスター エンチャント:STR
ドラゴンマスター エンチャント:INT
ドラゴンマスター エンチャント:MEN
ドラゴンマスター エンチャント:CON
ヘイストⅡ(+25)
ソウル オブ ウラガーン
マジック オブ アブソール(+25)
エレメンタル アベトゥマート ショット(+15)
(属性を纏った攻撃(力)の20%を減少する)
シロ以外との戦闘では、初めて使うバフを使ってみることにした。
+15にしたのを機に、シロに手伝って貰い、検証してみたのだが……20%とあるが酷く不安定で、入れても入れてなくてもあまり効果を感じることが無く、今まで放置していたバフだ。
折角だからと入れてみたが、修正が入っていない状態で使っても、あまり意味はない可能性のほうが高い。予備程度に考えてべきだろう。
バフを入れ終わり、最後にトランスパレンシーをかけ、開始を待った。
残り15秒となったところで、密談が届いたマークが光るのが見える。
折角楽しい対人戦なのに……と少し気がそがれた気分になりつつ、密談を開けば
戦闘前でも戦闘後でも、暇な時でも……関わりたくない相手だ。
見なかったことにしようと思い、そっとタブを閉じた。
カウントが残り7秒になり、相手を探すためその場を動く。
相手に見つかる前に見つけておかなければ、命取りになることもあるだろうと足音を殺し、草に当たらないよう歩いた。
開始の合図がなり、相手も動き出すだろうと予想しつつ探せば、私のいた距離から約30メートルほどの大木の幹に、背を預けるようにしてこちらを窺うポセルティウスを発見する。
ニヤっと顔が崩れるのを感じつつ、まずは相手の動きを止めるべくその場で、設置型魔法バインド(+18)を設置発動する。
それと同時に、トランスパレンシーの効果が切れ姿が顕になった。バインドがレジられ、ポセルティウスが直ぐに弓を引き絞ると、オリハルコン アローと見てとれる形状の矢を放つ。
流石に3メートルほどの距離でそれを避けることは難しく、ダメージを食らった。
「チッ」
舌打ちしつつ、幹の丸みを生かしそちらへと身を引きつつ、ま逆の位置に再度、バインド(+18)を設置しトランスパレンシーを入れた。
ギリギリ相手の視界に入る前に、トランスパレンシーを発動できたはずだと思いつつも、不安になり様子を覗う。
周囲を見回す、ポセルティウスの行動で私を見失ったと理解できた。
ゆっくりと弓が届かない後ろへ下がり頭だけを幹から出し、ポセルティウスとの距離を測る。
バインドの範囲まで、残り2メートルと言うところで立ち止まったまま、動かないポセルティウスに焦れつつ様子を窺っていれば、ディティクションが打ち上がった。
ポセルティウスは、打ち上げると同時に周囲を覗うよう見回し、動いた……残り1メートルと言う距離まで移動すると、突然走りだし右の遺跡へと移動する。
マジか……。
折角置いたバインド(+18)が無駄になってしまったが、それは問題にならない。
さっそくプランを練り直すと行動をはじめた。
私に背中を見せた彼の後ろで堂々とトランスパレンシーを入れ、杖を構え走りバインドの設置できる距離まで移動する。
再度バインド(+18)を設置発動すれば、エフェクトがあがりポセルティウスは、ただのサンドバックと化した。
アーマー ブレイク(+25)を詠唱し叩き込めば、エフェクトが彼の頭上にあがる。
杖から、対人用の二刀+29 ムラクモXオハバリに持ち替え、ソウル オブ カリエンテ、ファイアーウェポン(+25)を自身にかけ、先ほど覚え封印しようと思っていた、二刀スキル:ソウトウオオナミを発動させた。
左手の刀深い青のエフェクトを纏い、波打つよう上から下へ斜めに三度流れ、右から波が引くようにスゥーっと左へ一直線に戻る。
右手の刀が白いエフェクトを纏い右上から左下へと大きく切り裂き、左手の刀合わさりエフェクトが水色へと変化すると、二本同時に右上へと振りぬかれた。
その後、スキル使用による硬直が起こり5秒間行動不能となるが、相手が動かないと分かっているので余裕の表情を見せてみる。
相手ゲージを見てこのスキルのダメージを測れば、約HPの7割をこの技で奪う事ができるようだった。
5秒経つのを待ち、二刀を突き刺し精錬のサンダー スピアを打ちこめば、二刀を突き刺されたダメージとサンダー スピアのダメージでHPを枯らす。
会場にブザー音が鳴り響くと同時に【 ren win 】と頭上に表示され【 20秒後街へと戻ります 】と言う表示が視界中央へ現れるとのカウントがはじまった。
「おつ」
「おつかれさまです」
互いに挨拶を交わし、街への帰還を待っているとクラチャが騒がしくなる。
[[白聖] えげつない……]
[[さゆたん] renちゃんと当たりたくないでしゅ]
[[キヨシ] 瞬殺される~]
[[ヒガキ] 三次職に早くならないと……]
[[大次郎先生] いつかは当たるんだろうな]
[[宗乃助] どうやって勝てばいいでござろうか?]
[[ティタ] っ 諦める心]
[[ゼン] 負けました―]
[[宮様] 回復じゃ何もできないわ]
[[黒龍] あー。硬さだけあっても無理だろw
やっぱ精錬サイレンス必須か]
[[キヨシ] うわー。黒もえげつない]
[[さゆたん] 本当でしゅ]
[[ティタ] 精錬かー。俺もマジ専用武器買おうかな]
ティタがそう言った瞬間、視界がブラックアウトし街へと戻った。
見なくていいのに……そうクラチャで発言しようとしたところで、先ほど届いた密談を思い出した。黒に伝えるか悩み、とりあえず先生に相談する。
”ren” 先生。胡蝶から密談来た。
”大次郎先生” 胡蝶? なんて?
”ren” 同盟組みたいって
”大次郎先生” 断っていい
”ren” わかった。黒に言う?
”大次郎先生” 私から言っておく。
”ren” k。宮ネェにも伝えておいて
”大次郎先生” k
本当に関わりたくないが、これもマスターとしての仕事だと諦め胡蝶へ密談を送る。
”ren” 胡蝶さん。同盟の申し入れなんですが、お断ります。
”胡蝶” renちゃん、お久しぶり~!
”胡蝶” ちょっと! 断るのは早くない?
”ren” ?
”胡蝶” イヤイヤ、ちょっと待ってよ。黒君そっちにあげたんだから、同盟は組んでほしいな。
”ren” 黒は物じゃない。本人がこっちを選んだだけ。
”胡蝶” 物じゃない事ぐらいあたしだって判ってますぅ~。
”ren” 話終わり。
”胡蝶” だから、ちょっと待っててば!!
はぁ~。めんどくさい……とは言っても相手をしない訳にもいかず、とりあえず向こうの言い分を聞けば、黒が抜けたせいでかなりの火力ダウンになったとかなんとか言い始め、あげく……もし自分のクランに黒が居れば、このトーナメント戦でかなりのポイントをクランに収めたはずだと言う。
黒が選んだのだから、黒の自由にさせてやればいいのに……そう思いつつ先生へ密談を送る。
”ren” 先生。胡蝶うざい。
”大次郎先生” ren。それは初めからわかってるだろ?
”ren” トーナメント戦したい。
”大次郎先生” わかった、わかったから。
そうだな……胡蝶には、トーナメント戦終わったら時間作る。
って伝えて それで黙るはずだから……。
”ren” k
凄くスルーしたい気持ちを抑え、胡蝶への密談を開き、先生に言われた通りに伝える。
”ren” 胡蝶。トーナメント戦終わったら時間作るから黙って?
”胡蝶” はぁ? 日本語はちゃんと話しなさいよ!
日本語で話してるよ。とは返さず、トーナメント戦の職不問ランダムにエントリーする。
胡蝶から再度密談が届くが、気付かなかったことにした。
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