第33話 最強は撲滅を齎す③
先生の合図で、突入すると大部屋の入り口から右の端にそのPTは陣を置いていた。
壁に添って移動する。
[[黒龍] 引き役戻るのと同時で仕掛ける]
[[大次郎先生] ren、メイジにサイレンス。
魔法含めATK(アタッカー)全員グランドロール優先]
[[ren] メイジ行く]
[[白聖] 大部屋の見えない通路にいる。攻撃開始と同時に中に入る]
[[大次郎先生] ren、白k ]
[[キヨシ] ぶっぱなすぜー!]
残り10Mと言うところで、相手の引き役がモブを引き連れ戻ってくる姿を確認した。
黒が飛び出すタイミングを伝えると先生から、指示が飛んだ。白と宗乃助も側まで着いているらしく、見えない位置で待機しているようだ。
[[宮様] カウントいくわよー]
[[宮様] 3……2……1……go]
goと同時に、黒が飛び出しレンジ ヘイトを使う。敵だけでなく相手PTにもエフェクトが上がり相手の剣士や戦士が黒目がけ、槍を振るう。
ティタがターゲットマーカーを使い、グランドロールの戦士を示す。
間を置かず、メイジと思われるローブを羽織った三人にサイレンス(+25))を各々に入れていく。
一人だけ効き難い奴がいる。サイレンスを諦め、バインド(+18)を設置すると発動させた。
無事三人が、ただのNPCになったところで、シロと宗乃助が合流する。
全員が範囲内にいることを確認して、全体バフを入れ直す。
武器攻撃職のメンバーに個別で、ヘイストⅡ(+25)、ソウル オブ カリエンテ、ファイアーウェポン(+25)を入れていく。
それが終われば、自分を含め残りのメンバーに、ヘイストⅡ(+25)、マジック オブ アブソール(+25)、エレメンタルアップ(+15)、ソウル オブ ウラガーンを入れる。
杖を詠唱速度アップから、属性MAXのモノに持ち替えNPCと化したメイジを含めて、ドラゴン オブ ブレスを放ち、ダメージを与える。
[[黒龍] モブ多い。俺引き回すから本命に突っ込め]
[[大次郎先生] スキル使えー]
[[宮様] ティタ、右]
[[キヨシ] いくぜー!LAは俺のもんだぜぇ~]
[[宗乃助] 後とったでござる]
[[さゆたん] メイジ含めた範囲にするでしゅ、キヨシ]
キヨシ、さゆたんが息を合わせたようにサンダーストームを使えば、ティタと息を合わせるように交互に攻撃をしかける宗乃助。先生が、宮ネェに攻撃する盾職を抑え、先生を援護するようにシロの弓が唸る。
黒が引き切れなかったモブをバインドを設置発動することで動きを止め。メンバーに負けじと、ブレス オブ アローをメイジへと叩き込む。
[[ティタ] 先生。こっち攻撃加勢。ren盾押さえて]
[[先生] k]
[[ren] 30秒でよろ]
ティタの指示で先生と入れ替わると同時に、刀に持ち替え盾職へと右の刀で切り込めば盾を使いいなされた。
上手い……PKはこうでなくては!
盾職のヒューマンと剣を合わせる度、気持ちが高ぶる。
右手の刀をいなされ、左手の刀を下から持ち上げるよう切りかかれば、右手に持つ剣で防がれる。
右手の刀と見せかけ、左手の刀で首を狙う。タイミングを合わせたように盾が動き互いの刃先と盾がぶつかり合う。
そのまま、ヒューマンと視線が合えば、奴の口の端が釣りあがり笑いを浮かべる。
「剣士ごときが俺に敵うと思うな!」
[[宮様] バリアいくわよー]
奴が白チャで煽ると同時に、宮ネェがバリアを張ると声をあげた。
三次職盾職のスキル アンテンス ビート――盾を大きく振りかぶり大地に叩き着け、周囲にいる敵に対しショック効果とダメージを与える――を使った。
コンマ数秒の差で、バリアの方が先に発動し辛くも、奴のスキルを食らわずに済んだ。
「チッ」
舌打ちするヒューマン盾に、ニヤっと笑いを浮かべて見せると、杖に持ち替えソウル オブ カリエンテを自身にかけ、奴にはウェポン ブレイク(+20)、アーマー ブレイク(+25)を入れてあげた。
「ふふっ。剣士かな?」
そう問いかければ、ヒューマン盾は顔を歪ませ憎悪の瞳を向けた。
杖を刀に変えファイアー ウェポン(+25)を自身に入れると同時に、倍の速度で切りつける。右手の刀を上から斜めに入れつつ左の刀でその足を狙った。
対処に遅れた奴は、右手の刀を諸に受けつつも左の刀を辛くも盾で弾き返し防ぐ。盾により弾き返され、一回転しつつ、左手の刀で再度盾を持つ腕を狙い差し込もうとした刹那、クラチャで指示が飛ぶ。
[[ティタ] 処理終わる。ren先生と交代]
「チッ」
自分で30秒と伝えて置きながら、舌打ちすると刀を引きバックステップで盾と距離を取るように離れる。
先生が私と盾の間に入り込み、大槌を打ち込み盾を粉砕しようとするも盾の方が
周囲を見回してみれば、盾と遊んでいる間に、メイジ三人は既に灰色で、グランドロールの戦士と大槌装備のドワも灰色になり倒れている状態だった。
残るは、グランドロールの剣士、ヒューマン盾、エルフ剣士だ。
[[黒龍] ren バフくれバフ]
[[ren] 楽しかったのに……k]
[[ティタ] バフ終わったらこの剣士やっていいから!]
興ざめもいいところだ……黒にせかされ仕方なくバフの更新をはじめた私に、ティタからお許しがでる。
サクサクバフを更新して、杖を直すまえについでとばかりに、グランドロールの剣士へをブレス オブ アロー打ち込み杖を刀に変え剣士へと詰め寄ろうと踏み出した刹那――。
私の放った魔法がクリティカルの音を軽快に鳴らすと、まるでスローモーションのようにグランドロールの剣士が前のめりに倒れ、灰色へと変わった。
「はっ? 今からでしょ?」
[[キヨシ] wwwwww]
[[黒龍] ぶはっはははは]
[[さゆたん] どんまいでしゅwwww]
[[宗乃助] やるとおもったでござるが、まさかここでとはwwww]
[[白聖] やべぇ。草生えるわ]
[[大次郎先生] 皆笑うなww renが拗ねるとバフ来なくなるからw]
[[宮様] renほら、あっちのエルフのけっ、剣士にね。っふふふ]
[[ティタ] ごめんww エルフの剣士やっていいからww]
私の白チャに、全員が反応する……しかも笑って……酷い。
[[ren] 草はやした奴。後で、カリエンテの刑]
腹いせに、そういい残し八つ当たりをこめてエルフ剣士へと右手の刀で初撃を入れた。三次職に上がったばかりなのか、その動きは鈍く諸に受ける。
左手の刀を差し込んだところで、ティタと宗乃助の加勢が入り、30秒ほどで灰色へと変わってしまった。
残りを探せばもう、盾しかいない。その盾も先生とさゆたん、キヨシ、シロの攻撃で沈む直前の状態だった。物足りなさを感じつつ、ディティクションを打ち上げる。
マップで、増援がないことを確認する。
そうしている間にも、ヒューマン盾が灰色へと変わった。黒が引き回すモブを処理するため、槍装備に持ちかえる皆を見やる。
刀から火属性の杖に持ち替え、自身にエレメンタル アップ(+15)、ソウル オブ ウラガーンを入れる。
そうして、自身が思う最高の微笑みを表情に乗せると唱えるあの呪文――。
「イリュージョン カリエンテ」
すると、前回と同じく大部屋の洞窟の天井に雲が渦巻き雷鳴が轟く。カリエンテの鼻先が渦の中心から現れるとその禍々しい瞳で周囲を確認するよう見回し、大きく翼を羽ばたかせ轟音と共に舞い降りる。
[[黒龍] ちょっ! 本気で呼びやがった。全員逃げろー]
[[キヨシ] ぎゃああああ]
[[白聖] フィールドで死にたくねーーーーー]
[[宮様] ren。本気でよぶんじゃーよ!]
[[さゆたん] あ~。死んだでしゅね。装備はずしておくでしゅ]
[[宗乃助] そうでござるな。諦めが肝心でござるよ]
[[大次郎先生] 全員装備はずせー]
[[ティタ] よし。いつでもこい]
カリエンテから逃れようとする、黒、キヨシ、シロ、宮ネェ。
諦めの境地で死ぬ覚悟を決める、さゆたん、宗乃助、先生、ティタ。
阿鼻叫喚の中、カリエンテがその四肢を踏ん張り煉獄の炎を吐き出した――。
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