両思い俺たちが偽の恋人になりました!
タキ
第1話 全ての始まり
「私と付き合ってください」
高校一年の9月、俺は人生で初めて告白をされた。
しかもその相手は、俺が小学生の頃からずっと片想いをしていた幼馴染の女の子だ。
ちなみにクラスは違うが同じ学校にも通っている。
朱音はとにかく可愛い!
意外と頑張り屋さんなのだが、不器用ということもありかなりの確率で空回りして失敗してしまうことが多い。
なんと言うのだろうか、守ってあげたくなるような子だ。
それに見た目も超絶可愛い!
高校に入ってから約半年だが、すでに何回か告白されたらしい。
なんなのこの子?!
幼馴染じゃなかったら100%話すこともできなかったに違いない。
そんな子のことを片想いして約10年、俺は未だに告白することはできていなかった。
俺、
普通に朱音と親しくすることで満足して、この関係が崩れることを恐れて告白する勇気すらない。
まあ、強いて言えば、精々勉強が人より少し出来る程度だ。
でも朱音も同じ高校に入学しているわけだし、朱音よりも優れていることなんて何一つない。
こんな俺なんかがこんな完璧な朱音に釣り合うわけがない……と思っていた。今この時までは。
今なんて言われた?つきあってください……?
えっええええええええええええええええええええええ?!?!?!?!?!?!!?!
まじで?!
そんなことってあり得るの?!
だってあの朱音だよ?
選ぼうと思えばいくらだって選べるんだよ?
えっ、なぜ、おれ?
ここで俺がOKしたらマジで付き合えるの?
夢なのかと思って俺は自分の頬をつまむ。うん、痛い現実だ。
まじかー、俺たち両思いだったのかぁ……。めっちゃ嬉しい。
朱音を見ると不安そうに俺を見つめる。
そんなの返事なんて決まってる。もちろん……
俺が返事をしようとした時、それより先に朱音が口を開いた。
「あ、いや、これは本当の恋人ってわけじゃなくって……、えっと、あのっ、ふりだけでいいっていうかっ……えっと……」
「え?」
俺は思わず聞き返してしまった。
朱音はいつも通り、いや、今日に関しては特に混乱しているように見える。頭の上にひよこがピヨピヨと回転している。
話をまとめるとこうだった。
最近いろんな男の人に話しかけられてそれが困るから偽の恋人になって欲しいとのことだった。
………。
まあそりゃそうですよねはいわかってましたよこんななんのとりえもないおれがあかねとつきあえるわけないですよねわかってますともはい……。
「ああ、そういうことだったのか。でも、俺なんかで良かったのか?」
まぁ、朱音の力にはなりたいし、もちろんOKする。
「えっ、あ、うんヒロ君で良いっていうか、ヒロ君がいいって言うか、えっと……」
朱音はボソボソと何か話しているが、ほとんど聞こえない。
まあ、俺で良いということはなんとなくわかった。
「まあ、そういうことなら全然いいぞ」
「あ、ありがと。じゃあ、これから(偽の)恋人としてよろしくお願いします」
ペコリとお辞儀をする朱音。
「ああ、こちらこそよろしくお願いします」
俺も同じようにお辞儀をする。
こうして俺は人生で初めて(偽の)彼女ができました。
これからどうやって朱音と接すればいいんだ……
◆
あああああああああやっちゃったよおおおお!
もう、私のバカ私のバカァ!
せっかくヒロ君に告白するって決めたのにっ!
告白して、そこから沈黙があって、思わずフラれるんだと思った私は咄嗟に偽の恋人という提案に変えてしまった。
でも、あれだけ沈黙があったってことはフラれるってことだよね?
あれ?私が勝手に緊張してて時間の感覚がおかしくなっちゃっただけなのっ?!
これからどうやってヒロ君に接すればいいの?
偽の恋人ってどうしたらいいんだろう……
◆
「え?まじかよ……、面白いもん見ちゃったなぁ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます