鈍色の桜
あいだ なつ
第1章 種の保存
「種の保存。人間は人間に対してこれをしてこなかったからですよ。
他の動物に対してはレッドリストだなんだって言って、固有種を守ろうとするじゃありませんか。
しかし生物学者は人間にだけはそれを推奨してこなかった。これは個人の自由が尊重されてきたからでしょう。しかし周りをみてください………。」
モニターの中でそんな話しをしている。
あぁ。そういえば最近の若い人達は皆んな目鼻立ちがクッキリした美男美女ばかりだ。
自分の皺だらけになった手を見つめて30年ほど前の事件を思い出した。
あの事件は今でも心の深いところでいつまでも燻っている。
犯人は未だに捕まっていない。まだ新米刑事だった自分にとってあの光景は忘れる事は出来ない。それだけ衝撃的なものだった。
「もう純粋な日本人は絶滅寸前ですよ。」
その声に右手の中指がピクリと反応した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます