好きな曜日の話
はみがき
金曜日
月曜日と水曜日が好きだ。
火曜日は実験がある。
実験がある日は夕方までに実習のレポートを提出しなくてはいけない。
忙しい。
のんびり起きて、のんびり過ごすことができないのだ。
木曜日はバイトがある。
バイトがある日は憂鬱だ。
遊び疲れて眠たそうな小学生に体積の計算を教えて、
反応の薄い中学生に二次方程式の利用を教えて、
やる気のない高校生に確率の求め方を教える。
木曜日は嫌いだ。
金曜日はもっと嫌いだ。
朝から晩まで教習所に囚われる。
一向にうまくならない技能教習と、いつまで経ってもすすまない学科教習に追われる。
ひどくストレスフルだ。
土日なんてなくていい。
平日の課題をするためだけの曜日だ。
天気のいい、予定のない土日は歩いて図書館に行って、いい気持ちになったりもする。
だが、素敵なはずの土日なんて、大抵雨が降るものだろう。
やっぱり
月曜日と水曜日が好きだ。
確かに、月曜日は1限から4限まで空きコマなしで授業をうけなければならないし、退屈な授業が一番多い曜日だ。
次の日の実験の準備もしないといけない。
水曜日は大好きな部活がない。
それだけじゃない。
水曜日はお昼ご飯を食べる時間が十分にとれない。
課題の出る授業も多い。
それでも、
月曜日と水曜日が好きだ。
月曜日と水曜日は時間割を揃えるのが楽しい。
日曜日と火曜日の夜は次の日のことを思いながら目を閉じるのだ。
明日はどんな話をしようかと、
そんなことを思いながら目を閉じる。
放課後にはくだらない話をしながら君の隣を歩ける、
そんなことを思いながら目を閉じる。
月曜日と水曜日は
君の隣でうけられる授業がある。
月曜日と水曜日は
君とふたりでいられる。
授業中に絵しりとりのお手紙を交換し合うこと、
退屈な授業を尻目に、バレないようにお話をすること、
そんな中学生みたいなことでも
どうしようもなく嬉しい。
君の想いは私になくても、
そんなこと、わかっていても、
それでも
月曜日と水曜日が好きなんだ。
好きな曜日の話 はみがき @__hamigaki
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