霊機新誕ストラズィール
鋼鉄の羽蛍
世界の闇は少年少女を汚染する
memory:0 来訪者
日本と称されたその国は古の大帝国の血を受け継いでいた。
1万2000年ほど
しかしある時期を境に忽然と姿を消したその地は、すでに歴史からさえも消し去られる事となる。
だが現在——その大帝国時代に生まれた者の血脈と使命を、脈々と伝え生きる子孫が存在していた。
——
これはその末裔であるはずの人々が生み出した、文明社会の闇の狭間で……人知れず
†††
『敵は……野良魔族機兵らは、こちらを真っ直ぐに狙って来ている! 行けるかい!?
そこは海上。
「言われるまでもありません……。すでに私の〈
その施設を強襲する影と、対して影を穿つ巨影が相対する。護られる施設の巨大さは周囲の島々を凌駕する規模……さらにその形は大空を舞う巨鳥を思わせる。
「しっかり狙えよ、
「……おいテメェ
「っせえな! お前単独じゃ、無謀に突撃して台無しにすんだろが!この暴走族上がり!」
「ああもう! あんた達、ケンカは後にしなさいなっ!
「
「ちょーーっ!? アタシに丸投げって、どういう事っポイ!?」
巨鳥施設周囲へ陣取る巨影は五体。その
五体それぞれが異なる色合いで
何よりの特徴としてそれら機体から響くのは、まだ歳ばも行かぬ少年少女の声——それが襲来した来訪者を屠って行く。
さらに施設防衛のため一進一退の攻防に終始する姿へ、羨望を抱き指示を送る男性が施設内司令室と取れる場所より声援を送っていた。
「彼ら魔の軍勢——野良魔族機兵群は未だその本隊ですらない! まずはそれを相手に、君達が
「猶予があるとは言い難い……だが君達を——オレは信頼している! 任せたぞっ! 」
『『『『『了解!! 』』』』』
掛けられる声援は、少年少女への並々ならぬ信頼を乗せて放たれる。
だが——
彼らは決して社会から期待を寄せられ、そこにいる訳ではないのだ。それは来訪者の襲来から数ヶ月
彼らは……社会に於ける出来損ないのレッテルを貼られた者達。文明社会が生んだ闇の中で叫びを上げていた、孤独なる弱者〈社会不適合者〉であったのだ。
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