最古の化け狸おじいちゃん異世界で冒険する?

茶釜

第1話最古の化け狸

「ふぁ~~~~~~~……眠いのぉ~」


大きな欠伸をしながらそうボヤいた。最近暖かくなってきたせいか途轍も無く眠い。なにかしておらんとすぐに寝てしまいそうじゃ。…ん?


「マミゾウおじいちゃん!こんにちは!」

「おぉー、はなちゃんか。いらっしゃい、今日は何が欲しいんじゃ?」

「えっ-と…この蜂蜜味の飴ください!」

「ほいっ これじゃな? いつもありがとうのぅ」

「ううん だっておじいちゃんの手作りの甘味とってもおいしいもん!」


ワシの名はマミゾウ ここで小さな甘味屋[花咲屋]をやっておる。ここに置いてあるのもは全てワシの手作りで、なかなか評判もいい。

うむうむ、元気いっぱいじゃな。……最近この子の母親が病気で床に伏せていると聞いて薬を煎じてあげたのじゃが…



「はなちゃん最近お母さんの具合はどうじゃ?」

「うん! おじいちゃんの薬で良くなったよ!ありがとうおじいちゃん!!」

「そうかそうか それは良かった」

「あっ!そろそろ帰らなきゃ!またね!」

「うむ。気をつけて帰るんじゃぞ-」


煎じた薬が効いて良かったわい。ワシの腕もまだ鈍ってはおらんのぉ。…さてそろそろ時間か。


「ジジイ来たぜ」

「おじいちゃん来たよ-」


時間になると2人の子供が店に入ってきた。童の方の名は吉、生意気そうな面をしておる。娘っ子の方の名は月夜、優しいのじゃがどこか抜けておるような雰囲気じゃ。


「吉、月夜来たか…時間通りじゃな。では、早速稽古始めるかの」

「ぜって-ぶっ飛ばす!!」

「はぁ~~い」



⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫


「ハァ!!」

「ほいっ 足元おるすじゃ」

「おわ!!」


ワシは木刀を持って切りかかって来る吉を足払いで転ばした。前より強くはなってはいるがまだまだ注意力が散漫じゃな。さて月夜の方はと…


「………えいや~~~」


ボッ! ドゴォォォォォ!!


月夜は手のひらに火の玉を作り出しそれを岩に向けてはなった。抜けた掛け声とは裏腹に岩は砕け周辺は焼けごげた。あれは妖術 炎の参 豪火球か。だいぶ成長したな…驚くべき成長速度じゃ。じゃがまだまだ無駄があるな。


「月夜はだいぶ成長したが妖力を込めすぎじゃ。もう少し減らしてみよ」

「はぁ~~~い」

「吉は注意力が散漫じゃ。もっと全体を見ろ」

「おう」

「では休憩にするかの」


こやつ生意気そうな面をしておるが割と素直なんじゃよな。まぁ、その方が教える方としてはやりやすくて良いのじゃがな。休憩のため木陰に腰かけたその時。


「……失礼します」(ボソッ…)

「何用かの…」

「マミゾウ様に急ぎご報告したいことが…」

「…様は付けるな紅葉(こうは)。ワシは引退した身じゃ…」

「私にとって…いえこの国の全妖怪にとって、昔も今も、そしてこれからも私たちの主は貴方様だけですマミゾウ様!!」


ここは妖怪の国。昔から生きておる様々な妖怪が暮らしている場所。この国は人間たちの暮らしてる外の世界、日本から結界で隔離された世界…


さっきも言うたがワシの名はマミゾウ。今は小さな甘味屋をやっておる…前職は……この国を外の世界から結界で隔離し妖怪の皆をまとめあげた…


初代妖怪の国元総大将……









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る