<第2部 エピローグ> ~派遣、開始~
-----ロックロートシティ。午後八時。
-----政府局本部、市長室。
「ふむ、そうか……わかった」
金髪の男。ロックロートシティ市長は苦い表情で受話器を戻す。通話を終えてからの彼の溜息はあまりにも重い。
「結局、例の強盗犯たちは見つからなかったと」
「洗いざらい入れ込んだようだが、らしき人物は見当たらなかった……目撃証言も曖昧なものが多すぎて絞り切れない」
「見つかったのなら仕方ない。切り替えていきましょう」
黒い丸渕サングラスをかけた東洋風の男は市長と違って愉快そうに笑っている。
ロックロートシティはアウロラの中でも一番の巨大都市。繁栄と発展を遂げた街。
世界の最先端であるこの場所でこのような事件は山のように起きる。一人犯人を取り逃がすことも最早珍しいことではない。日常風景だ。
「……政府局の幹部面々には話を通しておくのでしょう?」
「言われなくても、そのつもりだ」
携帯電話を取り出し、至急それぞれへ連絡を入れ始める。
「では、私は便の時間ですので失礼いたします」
こんな夜の時間、運行中の艇は今もあるらしい。
「皆さんも忙しいようですからね。私もしっかりと貢献しなくては……」
大きめのアタッシュケースを片手。目的地となる場所の確認やスケジュールのチェック。携帯片手に整理をしつつ、東洋風の男は市長の下を去る。
「この街のためにもね」
たった一つの事件。カルラが引き起こした大騒動。
彼等の下へ迫る毒牙は……そう、遠くはない。
<第二部、完>
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<キャラクター紹介①>
●カミシロ・カルラ
アウロラ上空の異空間ゲートから舞い降りた異世界人。本作の主人公。
自分勝手で自由奔放。自分のやりたいことを優先し、それ以外には微塵も興味を示さない。
正義のヒーローを自称しており、それを名乗っては人助けをする変わり者。
だが人を小馬鹿にするのが趣味であり、長い決めセリフやちょっかいなど不愉快な言動が多い。
謎の武器・村正を振り回し戦う戦士。今も尚、謎が多い用心棒だ。
ちなみに料理にスポーツに音楽が得意だと言っているが、
料理は冷凍食品もろくに作れない。スポーツはルールを守らない。
音楽に関してはカスタネットしか叩いたことがない。
●シルフィ=アルケフ・スカイ
異能力の祖先となった”魔法”を司る神霊の末裔の獣人。
ロックロートシティで強制労働をさせられていたが、カルラによって助けられる。
真面目な性格で情が深い。とにかく頑固で自分の意思を曲げない。
カルラにはよく説教をする。すぐに拗ねるなど子供っぽい一面もある。
旅の経験が長いため対人にはそれなりに慣れている。尤も彼女自身、人間に不信感を募らせているが。
●アキュラ・イーヴェルビル
裏の世界で有名な何でも屋同盟”ヒミズ”の一員であり優等生。
仕事の途中でカルラとシルフィの二人と出逢い、二人をチームにスカウトする。
お金の為ならどのような仕事でも受け持つと断言しており、その為なら人殺しも厭わない。
その一方面倒見はとてもよく、ノリも良くて姉御肌の一面がある。見た目は幼いがこれでも成人、。炎を駆使した異能力を使い、肉弾戦の喧嘩も好む。
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