リアス女学園 ~この学園には、男の娘しかいません~

一色 遥

プロローグ

プロローグ

 セントリアス女学園。

 名前から予想できるように、ここは女子高である。

 それも、全国から選りすぐられた人しか入ることの出来ない名門中の名門。

 全女子高生達の憧れの学園だが――学園には一つにして最大の秘密があった。


 それは、“女子”が“一人もいない”ということである。


 そう、ここは対外的に女子高であり、その実態は女性のように美しい男子しかいない男子校だったのだ!


 そんなことを入学式で力説した校長(齢五十八・男)も大概変態モノだが、言ってることは事実なのだから仕方ない。


 なぜなら、僕こと水無瀬 遥みなせ はるか(齢十六・男) は実際に今、女子の制服に身を包み、ここの“生徒”として入学式に参加しているわけなのだから。


 何気なく周りを見れば、右隣に座ってる美少女(校長の話が本当なら男だが)も、あまりの事に口を開けたまま固まってるし、左隣に座っている大人っぽい女性(こちらも男だろうが)も、目を閉じて云々唸っている。

 そんな風に周りの人を見ていると、一人の女生徒(だから男)と目が合ってしまった。

 綺麗な黒い髪を肩の辺りまで下ろし、同じ色の大きめな目。

 よくわからないけど、僕は彼女(彼?)と何か繋がっているような……不思議な感覚を覚えた。

 お互い何か感じていたのか、先生方の話が終わり、「起立」の号令が掛かるまで、僕らは見つめあったままだった。


 僕の少しおかしな学園生活は、こうして始まってしまったのだ。

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