海が太陽のきらり SS

海が太陽のきらりSS

二重の読み心地を楽しめる作品です。

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https://kakuyomu.jp/works/1177354054891803680

「小さな違和感を追い、少女の秘密に気が付いた先に、物語の真のテーマが眠る」


自主企画用に書き下ろした作品です。


筆致は物語を超えるか【海が太陽のきらり】

https://kakuyomu.jp/user_events/1177354054891743810


(以下、ゆあんさま作成のストーリーを引用)

高校二年生の夏。海斗は訪れた親の実家付近の海で、一人泳ぐ陽子と出会う。泳ぎが苦手だった海斗は、陽子との日々で泳ぐ楽しさを知っていく。

元の街に戻る前日。陽子は「秘密の場所」に海斗を連れ出す。飛び込んだ海斗は、その水中から海面に煌きらめく太陽を見た。

海斗がキスをすると、陽子は「さよなら」と言い残し、去っていった。

翌年、同じ場所に海斗はいた。飛び込み、水面から再び顔を上げ、そこにはもう陽子が居ないのだと実感する。

以来、その海面の輝きを「陽子」と呼んでいる。

――――――


 筆致は物語を超えるか――?

 この問いかけに呼応して書き上げたのが、こちらの海が太陽のきらりです。ただプロットに沿った物語を、あらん限りの文で修飾しまくった作品です。


 ただ、このプロットには不可思議な点がいくつかあります。それをうまく説明せよというのもまた課題でした。最大の謎は「何故陽子は去ったのか?」というものです。


 この点について私は一つの回答を用意しましたが、それを物語に書きませんでした。ただ陽子が物語開始前に取ったある行動を匂わせ、そこから読者さまに想像を膨らませていただき、回答を見つけてもらおうと試みました。

 が、匂いが薄すぎてご企画の終盤まで誰にも気づいてもらえませんでした。失敗です。


 しかし怪我の光明というか、この作品はただ一点に気付くか気付かないかで物語の色ががらりと変わる、二重の読み心地を持つ作品になりました。文は概ね海斗の視点で見た通りの彼女を描いているが、ある事実に気付けば彼女が見た通りの精神状態ではないことが解る。

 気付かなかった読者さまは海斗の目線で去り行く陽子をぽかんと見送ることでしょうし、気付いた読者さまは陽子の気持ちを思って海斗に苛々するかもしれない。

 


 こういう作品を完全に狙って書くことができるようになれば良いですね。


 描写の美しさという一点のみに基準を絞れば、これが現在の最高傑作です。

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