第4話 スクールカースト2軍

私の夫にティファニーの買い方を教えてくれないだろうか?





私は、どうやら婚約指輪をもらえるような女でない,ことを第3話で理解した。




朝、化粧する時間があるなら、ギリギリまで寝ていたい。

毎日同じカバンを使う。

お昼はサラダだけじゃ足りない。

時々,指毛剃ってなくて焦る。

むしろ,夫よりも足の指の毛は濃い。




そんな私だって、欲しいものは欲しい。

キラキラしたものに対して、憧れはある。

幼少期、宝石屋のチラシを切り抜いて大事にしていたくらい,キラキラしたものが好きなところは、女なのだ。




否,キラキラした、女,に憧れているのかもしれない。

「結婚指輪もらいましたー」、なんてSNSに指輪をアップする女でありたかったのかもしれない。


さて,なぜ、私は、キラキラしていないのか?




---------------------------------------------------------


かわいい子と仲良くなりたいとか、

あの子と一緒にいると自分の価値が下がるとか、

そんなことを頭の片隅で考えてしまうようになったのはいつからだったろうか。


私はどこのグループに属せばいいんだろう、とか。

私はどの子と仲良くなればいいんだろう,とか。




見た目がキラキラしてて,彼氏だとか流行だとかの話をしている女子がいるのが1軍。

アニメとか漫画の話をしてて、校則守ったスカートの丈,化粧っ気もないのが3軍。


そこまで特徴がなくて、1軍でも、3軍でもなくて、それが2軍。



圧倒的、2軍感。

気づけばそんな感覚とずっと一緒にいる。


ちょうどいいところ、と言ってしまえば、そうかもしれない。

これといった特徴がないのだ。


のめり込んでいるものがない。

それなりに流行りには乗るようにしているけど,目立たない、ぱっとしない。

その他大勢の中の1人。

みんな,髪型がウルフカットだった時期には,もちろんウルフカット。



1軍になってみたいけど、無理だろう。2軍からは落ちたくない。

この子と友達でいたら大丈夫。あの子とはあまり話さない方がいい。

あの子とは話せたら,みんなに一目置いてもらえるかも。



…なんか、学生時代は,そんな気持ちに振り回されて,常に疲れていたような気がする。

自分のいる立ち位置を確認し続けたり、保ち続けたりすること。

どうしても、自分のことを見てる他人が、自分の中に居続けることに。



ティファニーだって,私の居る場所を確認するために欲しいのかもしれない。



選ばれた女としての証明を、ティファニーで、しようとしているのかもしれない。

選ばれた女の証明がティファニー?笑っちゃうわ、ハリーウィンストンでしょ?って人もいるだろう。

そんなの要らないって言える人もいるだろう。



ただ、私は、自分の今の立ち位置を、他人に見せつけたくて、その立ち位置に安心したくて、必死にもがいている。



周りの様子を常に伺って、

自分のステータスを維持するための「何か」を求め続けている。



しかし,私は一体,誰に、何を,見せつけたいのだろうか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る