第16話オッドアイ
「…で、ここに一人で探しに来たと」
「ううん。咲良が居ーひんくなったんが信じられへんくて、ホンマは一人でここら辺で寂しそうにしてるんちゃうかなと思って…」
「…思って?」
「たら、このお兄さんがいきなり近くに来て険しい顔したと思ったら、座ってぶつぶつ言い出したんで、なんや、気持ち悪い人来たなと思って、横で真似してみただけ」
遼は、恥ずかしそうに、もうその話はしないでと言った素振りを見せて、一は、それを見てニヤニヤしていた。
「咲良は、白い浴衣の子に連れていかれてたんかな?それとも…」
「それとも?」
「ううん」
二人は顔を合わせ、咲希の方を心配そうに見ていたが、その時、先日花音が言いかけてた誕生日のときの話しを思いだし、咲希に聞いてみることにした。
「咲希ちゃん、この前咲良ちゃんの誕生日があったらしいんやけど、その時何かなかったかい?」
遼のその質問に、咲希は一瞬はっとした表情を見せたように見えたが、
次の瞬間、自身の左目に指を当てて
コンタクトらしきものを外し、こちらに振り向いた。
「ほら、これ見て」
と、咲希が自身の左目を指を指した。
「咲希ちゃん、それは⁉️」
「虹彩異色症って言うんやって」
咲希の目は、右目は黒く左目は青くなっており、俗に言うオッドアイだ。
「なんでか知らんけど、私も花音も同じ時期に、幼稚園を上がる頃くらいかな?急に左目だけ青色になってしもうて」
「おお、初めて見た。一だけに」
遼と咲希にスルーされて、一は後悔していた。
「多治見の特有なんかな?」
「え?どうゆうこと?」
「あの子が、咲良が七歳の誕生日の時に、花音とあの子の家に行ったとき…」
咲希と花音が、咲良の誕生日に家に行ったときだった。
見て見て。と咲良が先ほどの咲希のように
左目を、あっかんべーをするように見せてくると、同じように青色になっていて、
3人は、なんだか本当の姉妹になったみたいと、悠長にその場で喜んでいた。
「あの子、7つの誕生日の朝に、起きて顔を洗っていて鏡を見たとき、青くなっていた言うて」
「マジか。それはまわりの皆は知ってたんかな?」
「ううん、私らも普段はコンタクトしてばれんようにしてる」
「それは、どうしてなんかな?」
「うーん、お父さんが良くないって。この辺の年寄り衆には、そないな派手なんは受付へんやろうからって」
「派手…?」
咲希と花音と同じように、咲良も7つの誕生日迎えると同時に、左目が青いオッドアイになるという。
これは、偶然なのだろうか?
それとも、この村の者特有のものなのだろうか?
遼は、またゾーンに入って考えを深まらせていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます