第14話思いでの欠片
「咲良ー。はよこっち来てみ!」
「咲希姉ちょっと待ってー!下に石いっぱいあるから歩きにくいねん」
咲良は、よたよたとスカートをつまみ上げて
二人に一生懸命ついていこうとしていた。
「咲希。あんたホントに見たん?」
「ホンマにおってんて。あんたもひつこいなー」
咲希と花音は、ティーシャツにホットパンツというラフな出で立ちで、多治見川の川辺を歩き、上流の方へ向かっていた。
この辺りで噂になっている、何かを見つけに行くらしい。
「咲良が着いてこられへんやん。ちょっと待ったりーや」
咲希は、はーっと息をついて、目の前にある岩に片足をのせて、上流の方を見つめていた。
「咲良大丈夫?しんどないか?」
「うん。まだ行ける」
そう言うと、咲良は花音のティーシャツの裾を掴んだ。
強がりを言ってはいるが、追いてかれるかもしれないと、心細く思っていたんだろう。
「お姉ちゃん、ホンマに見たん?」
咲良は、疑うような目で花音を見上げた。
「いや、私ちゃうで。咲希やで咲希」
慌てて花音は咲希の方に指指して言った。
「うーん、あの辺やったかな…?花音!咲良!ほな行くで!」
花音と咲良は、同時に咲希に言った。
「ホンマに見たん?」
「見た!白い浴衣の少女!」
…「何々?その白い少女って?」
一が咲希の咲良との思い出話に質問してみた。
「それって、この辺?」
遼が、指で辺りをくるくる指し回しながら聞いてみた。
「ううん。もうちょい先」
「で、で。なんなん?その白い少女って」
興味津々の 一と遼に、咲希はこの辺で噂になっている、白い浴衣の少女について話し始めた。
「この辺で、何年か前から白い浴衣の子供を見た。って言う噂があって。私、そういうの、霊的なやつ?全然信じひんし」
「で、真贋を確かめに行ったと」
「そう。初めは同じクラスの秀太が見たて言いだして」
「秀太?彼氏?」
いちいち茶々入れてくるな、この魚顔は。
と咲希は一を睨んだ。
「ちゃう。クラスメート!」
「あー、はいはいすいません」
おい、という感じで遼に一は肘うちされた。
「で、二人で上流の方に歩いてたんやけど…」
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