第5話ハーメルンの笛吹者2
神社への奉納品として、何日かにいっぺん村で取れた作物や川魚、猪などの肉類を持っていったりしていたのですが、
それを受け取る際に、出てきた子供達の様子が変だ。と配達の若いものが村に戻ってきて言うのです。
-「おお、お疲れ六平、定吉。神社の子達はどないやった?」
「いや、なんか…ね…」
首をかしげながら六平は定吉の方をチラリと見た。
「そう、なんかこう…なんすよね」
二人のなんだか奥歯に物が挟まったような口振りに、青年団の正三は少しいらっだった声で二人に聞いた。
「なんやねん二人共。帰って来るなり…な顔してからに。なんか子供ら喜んどったで、とか。あれ欲しがっとったで。とか、ないんかいな」
「いや…何て言ったらええんですかね?」
「しゃーから、何か言うてみーて言うてんねや」正三は、二人が聞いてほしそうなそぶりをするので、公民館で銃の手入れをするのを手を止めて話しているのに。という顔をしていた。
「いや、今日小梅の所のお婆から、小梅の好きなアンコ餅持ってってくれ言うて頼まれましてん」口を尖らせながら六平が言うと
「軽トラで運ぶ時に、あいつら喜ぶやろな言うて持ってったんですよ」定吉は六平と正三の前の椅子に座り話し始めた。
神社の境内にいつものように食物を降ろしていた二人だったんですが、
いつも通りに、中の住み込みの装束姿の子供達が受取りにきたわけなんですが、その中に小梅の姿もありまして、六平は小梅が喜ぶと思って、小梅に直接お婆から預かった例のアンコ餅を渡したんですよ。
それなのになぜか
受け取りにきた子供達は、小梅も含め皆,無言でこちらにやってきて、目は虚ろで表情はせまるで感情がないようだったと。
いつもなら、元気に挨拶をして出てくる子供達が、今日はその挨拶すらなかったと。
六平と定吉は、神社の子供達のいろいろと正三に話しまして。
正三は、いつもボケッとしている二人が
おかしいというくらいやから、よほどおかしかったんやろう。と村長や年寄り衆にその話しを報告に行ったところ、
村長達は話し合い、青年団の若い衆達に交代で神社の様子を見に行ってほしい。
その際は、隠し見で様子を伺い報告してほしい。と若い衆達に伝えました。
最初に神社の様子を見に行ったのは、青年団では中堅どころの若いもので、坂田一二三というものがいくことになりました。
一二三は小梅の兄にあたるもので
小梅の様子を聞いて自分から志願してきたのです。
そこで彼は、神社で神主として居座ることになった男の、キアラの秘密を見てしまったのです。
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