雪降る夜の夢
アトリビュート
起
プロローグ
やってきた。
俺の一番嫌いな季節だ。
街では赤と緑色のライトがチカチカしてて、金ピカの筆記体でメリークリスマスと飾られる。
小洒落たパン屋なんかにはクリスマスリースがかけられ始めていて、帰る時刻になると道中のデパートでツリーの点灯式があるもんだから混んでたまったものではない。
そして何より、リア充が多い。
リア充爆発しろリアジュボーン!
生まれてこの方、恋はしても愛せない男。
そう、俺は…
「ダイチー!コッチ見ろよ!」
顔面に衝撃が走る。
次の瞬間に背中と首元から冷たい雪が溶け始め、全身の皮膚が強張る。
「やりやがったな…」
俺は
近くの地面から雪をいっぱいにすくい取り、硬く硬く握る。
「お返しだっ!」
「ぶふっ!」
俺の雪玉も相手の顔にクリーンヒットした。
そこらのホテルはまだ10日前だというのに満室ばかりだ。
中ではカップルが熱い夜を過ごしている事だろう。
しかし依然として、俺は彼女もおらず童貞、陽キャでもなければ個性すらない。
どうせ当日にはラブラブ両親が温泉に旅行するので俺は一人でクリスマスを迎えることになる、これが毎年の恒例行事だ。
「あーあ、彼女できねぇかなぁ」
「サンタにお願いしたらどうだ?ま、ダイチはクソ野郎だから来ないだろうけアベシ!」
また雪玉をクリーンヒットさせた。
大地16歳、寒いクリスマスになりそうだ…
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