第28話
「では、つまりミレニアムロックとはパンドーラの箱を開けるものだったということなんだ」
僕は猪熊に言った。
「そうです。こだま君。ミレニアムロックはつまり世界中の災いを詰めた箱。それを開ける鍵がミレニアムロックです。それが宣教師と共にアジアへ流れてきていた。ルソンの壺・・そのなかの『開かずのルソンの壺』こそがそうだった」
「利休、何故おみゃーはそれを交換にしたんだ」
松本がじっと見つめる。
「それを何に使うつもりだったのか?」
猪熊は続けて言う。
「ルソンの壺を開けて、災いを開放するためです。我らの神の為に」
「我らの神?」
松本が眉間に皺を寄せる。
「それは何だ?」
猪熊が頭を掻く。
「藤吉。私はアジアに流れるまで沢山の所を渡り歩いてきた。歩きながら私は沢山の神の存在を知った。それはこの魔術書が定める神以外の神、そうそれは悪魔ともいわれたりするが、・・私はそんな悪魔と定義されるような神とは違う異質な神を知ったんだ」
「悪魔とは異質な神・・??」
それは・・・
「それはクトゥルフ」
言うや、方丈の囲い窓がいきなり開いた。するとゆっくりとのそりと誰かが入って来る。ぴちゃぴちゃと音を立てながら、そいつはゆっくりと顔を上げた。
「あっ!!お前は」
僕が指差す先に居た者。
そう、それはあの雨の中で会った河童だった。
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