世界が終わるまでの話

ゆずねこ。

00 プロローグ

「突然だけど、私達で世界を救おうと思うの。」


彼女は笑ってそう言った。

冗談のように聞こえるそれを、その場にいる誰しもが冗談であると受け取らない。

それは彼女達の人柄を良く知っている者たちだから、というわけではなく。

ただ彼女らならば成し遂げるに違いないと、そう信じさせるような不思議な力が彼女の言葉にはあったのだ。



世界は竜に怯えていた。

今の今まで絵本や童話の中のみに存在していたそれ。

それが実在するというその事実を、この世界に生きる人間たちが知ったのはつい最近のこと。

それに対する対抗策は、未だ見つかっていない。




元々様々な面において高く評価されていた彼女にとって、かつての文明が残した情報を読み解くことは難しくなかった。

彼女は魔術の存在を知るとそれを会得し、広め、現在の科学と融合させて魔科学という存在を確立させた。

だからこそ、彼女の言葉に彼ら以外の者も賛同し、盲信したのかもしれない。

……それが、太陽を地に落とす結果になるとは知らずに。

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