時が来たんだ

「疲れちゃったネ。お互い色々とさ」


 ワンルームのアパートでベッドに腰掛け、君は疲れた笑顔を浮かべ言う。僕はおそらく生気の篭っていないであろう目を彼女に向ける。


「ほらネ。君も疲れてる。私も疲れてる。仲間だヨ」


 タバコに火をつけ、僕は薄く笑う。ラジオのスピーカーから昔聴いていた古い洋楽が流れ始める。

 指でリズムを取りながら口笛を奏で、彼女をさらに見つめる。


「いい雰囲気だ。今なら死んでもいいよ。一緒に。昔から、雰囲気のいい曲が流れているときに愛する人と心中したいと思っていたんだ」

「さっきと目が変わってるネ。わかったじゃあ一緒に」


 お互い灰皿を持ちタバコに火をつける。一吸いしたと同時に灰皿を……。

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